教育委員会対象セミナーは11月4、5日、札幌市内で開催。2日間で教育委員会と教員が200人以上参集した。当日の講演内容の一部を紹介する。
2021年4月に開設したばかりの北海道高等学校遠隔授業配信センターは、北海道内の学校に遠隔授業を配信している。質の高い遠隔授業のための取組について、同センターの笹子学次長が報告した。
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本センターでは、道内の小規模化した高校や、教員数が少なく大学進学などの多様な進路希望に対応した教科・科目の授業の開設が困難な学校に対し、遠隔授業の配信を行うために開設した。大学進学を目指す中学生が、住み慣れた地域を離れて都市部の高校へ進学している現状を踏まえ、子供達が、どの地域においても自らの可能性を最大限伸ばしていくことのできる、多様で質の高い教育を提供するため、生徒の興味・関心や大学進学の希望に対応した教科・科目を配信し、教育内容の充実を図っている。
21年度の1年生から、年次進行で遠隔授業配信を開始し、23年度以降は全学年に配信する予定だ。同センターには16人の教諭を専任で配置。集中化することにより、効率的で効果的な配信ができると考えた。今年度は道内29の学校に25科目配信している。配信単位数はのべ181時間、受講生はのべ685人。次年度は約1000人に達する見込みだ。受験に必要な科目だけではなく、数多くの教科の授業を配信することで、選択肢を広げ、多様な学びに対応したいと考えている。
同センターが進めている「COREハイスクールネットワーク構想」では、同時双方向型の遠隔授業により、自分の学校では受けることのできない授業が受講できるようにする。
遠隔授業を実施する際の教員の負担軽減や、遠隔ならではの授業編成、適切な受信生徒の人数や、教科・科目ごとの効果的な授業設計など、遠隔授業が継続的に実施できる体制づくりに取り組んでいる。
授業はホワイトボード等を使用しながら行い、遠隔授業を配信するカメラ、大型ディスプレイで受信している生徒の状況を把握する。ビデオ会議システムIPELA(イペラ)やGoogleMeetを経由して各校の大型ディスプレイ等にお互いの様子を投影している。
Google Classroomも使用。生徒は、授業で取り組んだワークシートや資料を提出し、教員はコメント等を記入して双方向でやりとりしている。これは課題や小テストの解答を掲載したり、成果物や説明事項を蓄積もできる。パフォーマンステスト(動画)の提出、動画URLの紹介や生徒からの質問や感想などのやり取りにも有効だ。
また、Jambordなどを使用して問題や課題を提示し、生徒は他の生徒と思考を共有しながら考えを記入していく。グループワークで生徒の意見をリアルタイムで観察し、その場でフィードバックすることもできる。
Googleフォームも小テストで活用している。解答をその場で集計し、生徒の理解度を把握できる。これは授業に関するアンケートでも活用している。
今後は1授業当たりの適切な参加生徒数や、ICT機器の整備やネットワーク回線の状態などの課題に対応していく。また、受信校や生徒のニーズに応えるため、より効果的な遠隔授業に向けた改善を進めていく考えだ。
【第91回教育委員会対象セミナー・札幌:2022年11月4日・5日 】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2022年12月5日号掲載