教育委員会や学校の整備担当者を対象に実施している「教育委員会対象セミナー~ICT機器の整」が、12月5日に東京で開催された。当日は約110名の教委・教員が参集した。
統合型校務支援システムを導入して2年目を迎える八王子市。その整備と活用について峰尾主任が報告した。
八王子市では平成29年4月から全小中学校で校務支援システムを利用している。
システムは原則としてパッケージで調達することとし、カスタマイズに係る経費やランニングコストを抑えるようにした。
ユーザ目線に立ったシステム構築のため、システム導入検討会を立ちあげた。検討会は導入準備委員会と機能別のワーキンググループから構成。検討会の意見がシステムに反映されることで学校の声が生きたシステムになると考えた。
導入時以降も年1回、教員と事業者が意見交換を行い、機能の一部の修正や運用方法の見直しを図り、より使いやすいシステムづくりを目指している。
システムはクラウド型とした。
震度7相当の耐震構造を持つデータセンターに設置することで安全を図ること、業務の省略化・効率化、情報セキュリティ対策、テレワーク環境の構築がねらいだ。システム監視などを業者に任せ、職員の業務負担を軽減でき、児童生徒の個人情報を取り扱うため情報セキュリティ対策が講じられたデータセンターで管理することが望ましいと考えた。
校務支援システムの機能は掲示板やイントラメールが行える「グループウェア機能」、児童生徒の成績処理などを行う「校務機能」、児童生徒の健康管理を行う「保健機能」の3つを導入。システム導入により、指導要録や調査書を簡単にかつ正確に作成でき、教員の負担が軽減された。
電子保存は事業者からの追加提案を受けて導入した。
対象となる帳票をデジタルID付きのPDFファイルとしてデータ化する。帳票を紙媒体で保存した場合、廃棄処理の手間がかかるが、電子化により、その必要がなくなった。
運用ルールの策定のため平成29年4月、システムの利用開始に合わせてガイドラインの第1版を発行。運用後も随時見直しを図り、平成30年4月には第2版を発行した。
導入説明会や機能別の操作研修会などシステム利用状況に合わせ、様々な研修会を開催。活用支援研修会として事業者が年1回、学校を訪問する研修も実施している。
基本マニュアルのほか、各機能に特化した操作マニュアルを用意。システムへの理解を深めた。マニュアルは教職員に1冊ずつ配布。さらにすべてのマニュアルをグループウェア上にUPしている。
ヘルプデスクは、メール、FAX、電話で受付。学期末は通知表の作成など成績処理を行うため、電話の受付時間を1時間延長している。導入1年目は1か月あたり約200件の問い合わせがあった。
校務支援システム導入後、教員対象に実施したアンケートによると、小学校では20%を超える教員が校務の負担軽減に期待している。その期待に応えるためにも教育委員会では学校や事業者と連携を図りながら、より使いやすいシステムづくりを目指して取り組んでいく。
【講師】八王子市教育委員会 教育総務課主任・峰尾晃彦氏
【第54回教育委員会対象セミナー・東京:2018年12月5日】
教育家庭新聞 新春特別号 2019年1月1日号掲載