教育委員会や学校の整備担当者を対象に実施している「教育委員会対象セミナー~ICT機器の整備と活用・研修」が、10月12日に札幌で開催された。札幌開催は今回で3回目。当日は約100名が参集した
Intelマスターティーチャーでもある朝倉教諭は同校の研究部長や教務主任としてICTを活用した主体的・対話的で深い学びの授業実践に取り組んでいる。
屯田北小学校では札幌市夢事業やパナソニック教育財団からの助成などを得て独自にICT環境を整備してきた。これまでの5年間を振り返ると、その時期の教育目標を達成するためのICT環境を段階的に整備、実証、検証をしていると感じている。
全15学級には現在、書画カメラ、ノートPC、ホワイトボード、OAラックを整備。デジタル教科書は市内全小学校に算数が整備されており、それに加えて本校では国語や社会も導入している。
最初に取り組んだのが、対話的な力の育成だ。
実物投影機を全教室に整備することからスタート。ICTが苦手という教員でもすぐに活用できるため、顕微鏡画面や教科書、資料を大きく示して子供たちから問いを生み、対話につなげるなど批判的思考力の育成や対話的な学びの構築などに役立った。
「拡大提示」の活用が進むにつれて動画やデジタル教科書の活用も進み、問題意識を高めることに役立った。
一斉指導による活用が定着するにつれて、タブレットPCの児童活用も進んだ。ドリル学習や主張のまとめ、書き込んで発表する、体育で撮影して見直すなどだ。さらにインターネットに接続してグーグルマップなどで地域を俯瞰するなどICT活用により、これまでできなかった授業や活動が可能になった。
PCの良いところは「他人の書き込みをすぐに参照できる」点。人のノートを頻繁に見ることはできないが、ディスプレイ上であればすぐに見ることができ、関わりや対話が生まれ、気づきを共有しやすいなど「つながり」のある授業が展開できる。
ICT活用による授業を満足度の高いものにするためのポイントはPDCAにある。見直して反省し、次の目標をもって取り組む、ということの繰り返しだ。
例えば教員は、ICT活用に慣れるにつれ、情報収集も上手くなり、どんどん教えやすくなることから「情報過多になる」という点を反省。次の目標は「ポイントを絞って使い児童の活動を増やすこと」に設定し、グループごとにホワイトボードを使って話し合い活動に取り組むこととするなど、常に発達段階を考えて取り組んでいる。
児童に話し合い活動が定着すると、「話し合いだけで終わっているのではないか」という反省点が生まれ、「深い学びや気づきを促すためにはどうすれば良いか」など次の目標が生まれ、教員のファシリテーション力を意識した取組も始まった。
ファシリテーション力が高まると児童の自由な活動が増える。タブレット端末を外に持ち出して様々な活動に活用したり、同時編集して成果物を制作したり、理科の実験を撮影して振り返ったりするなどだ。
PC室は札幌市が順次更新しており現在はタブレットPCの更新だが、本校は早期に更新されたためデスクトップPCだ。しかし独自にタブレット端末を整備しているため、デスクトップPCとの使い分けが上手く機能。PC室では、じっくり考えて表現する活動に取り組んでいる。
今年度から校務支援システムも更新され、活用が始まった。本校では順調に活用が進んでいる。
【講師】札幌市立屯田北小学校主幹教諭・朝倉一民氏
【第52回教育委員会対象セミナー・札幌:2018年10月12日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2018年11月5日号掲載