教育委員会や学校の整備担当者を対象に実施している「教育委員会対象セミナー~ICT機器の整備と活用・研修」が、10月12日に札幌で開催された。札幌開催は今回で3回目。当日は約100名が参集した
遠別町では過疎地域であっても将来の選択肢を広げるため学力向上のきっかけづくりを目的に様々な予算を活用して電子黒板や指導者用デジタル教科書、タブレット端末等の整備に取り組んでいる。稗田氏はその経緯を報告した。
遠別町では平成22年度総務省事業により光ファイバー網を整備し、25年に「ICT利活用広域連携推進事業」でICT支援員を配備。電子黒板12台、実物投影機11台、タブレット端末(iPad)240台と無線LANを整備した。現在小学校には国語、算数、理科、社会のデジタル教科書を、中学校には国語、数学、社会、地図帳、理科、音楽、美術、技術家庭科のデジタル教科書を整備。遠別農業高校には1人1台のタブレット端末と大型モニターを配備。学校だけではなく寮にも無線LANを整備した。
これらの予算はふるさと納税クラウドファンディングなどを活用している。
平成29年度はソフトバンクの社会貢献プログラムに天塩町を事務局として5町で応募。管内13校に57台のPepperと専用PCを配備してプログラミングの授業に着手している。
総務省事業による遠隔授業では東京都武蔵村山市の小学生や沖縄県宮古島市の中学生と交流を行った。
通常の授業では、タブレット端末と電子黒板を使って画像転送装置で提示して答え合わせなどを行ったり、学習発表会の練習のため教員がデモ演奏をパートごとに作成して自宅で授業を行ったり、カメラ機能を使って写生の授業に使ったり、動画を授業で活用したりなどしている。
農業高校ではドローンの活用も始まった。
タブレット端末は既に5年を経過しており、更新するための財源確保が課題で、ふるさと納税の活用を考えている。プログラミング教育をさらに推進するためにはキーボードが必要であることから、機種の変更も検討すべきであるという助言を受けており、今後の展開は教育委員会と相談して決定する。現在、地域起こし協力隊を卒業した1名がICT支援員として活躍しているが、今後、ICTを支援者や助言者の育成も検討する。
【講師】遠別町総務課企画振興係長 稗田一栄氏
【第52回教育委員会対象セミナー・札幌:2018年10月12日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2018年11月5日号掲載