教育委員会や学校の整備担当者を対象に実施している「教育委員会対象セミナー~ICT機器の整備と活用・研修」が、10月12日に札幌で開催された。札幌開催は今回で3回目。当日は約100名が参集した
福島町(小学校2校、中学校1校)では近隣と比較して整備が遅れていたことから、平成29年度よりICT環境整備を一気に進めた。その特徴は整備計画をICT専門家に委託した点だ。中村氏はその経緯を報告した。
平成28年度当時、福島町の普通教室には32型の液晶テレビが整備されているのみで、PC室はWincdowsVistaであった。そこで新規整備に着手。教育委員会のみで整備内容を決定することは難しいと考え、ICT専門家として、かつて校長であり現在函館市内でPC教室を主宰しているICT活用教室クレバーキッズの熊谷光洋氏に整備計画の策定を依頼。PC室の更新・整備計画に取り組んだ。
整備計画にはPC室にタブレット端末(iPad)74台、管理用Macbook3台、大型モニター1台、AppleTV5台、職員室用ノートPC47台(有線LAN)、普通教室用に校内無線LAN化などを盛り込み、12月に入札、業者を決定して1月に議決し、工事を3月に実施。予算規模は2150万円で、単年度整備の事業費確保が難しいことから財政課と相談し、一部に北海道市町村備荒資金組合の「防災資材機譲渡事業」を活用(5年償還)した。
平成28年度、各校の現状調査と共に今後の整備計画を策定。
その計画を受けて2月、教育委員会と各校の教頭及び担当教諭で構成する「児童生徒用タブレット等整備検討会議」を立ち上げ、近隣の先進地区である知内町と松前町を視察。アプリのデモ会も開催。
8月に「報告書」を作成して1人1台整備や大型モニター、デジタル教科書の必要性などを盛り込み、教育長に提出。その後平成30年度導入へ向け、関係部局との調整。総事業費は2430万円で、こちらも同様に防災資機譲渡事業(5年償還)で確保。タブレット端末129台、充電保管庫、各教室用ノートPC22台(小学校=全学年と特別支援教室、中学校=全学年と特別教室)、60型液晶テレビとAppleV各20台などの整備を7月に完了した。
iPadの更新を含めた保守も実施。熊谷氏にはICT研修会や授業支援も委託している。各校では授業のほか、合唱コンクールの練習や卒業文集の作成、全校朝会での発表など様々な活用が進んでいる。今後は継続的な活用に向けた定期的な研修、これら整備による成果の補促、プログラミング教育にも着手する予定だ。
福島町PTA連合会では「福島町メディア・ルール宣言」を制定。家庭と連携した情報モラル教育にもつながった。
【講師】福島町教育委員会学校教育係長・中村伸也氏
【第52回教育委員会対象セミナー・札幌:2018年10月12日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2018年11月5日号掲載