教育委員会や学校の整備担当者を対象に実施している「教育委員会対象セミナー~ICT機器の整備と活用・研修」が、10月12日に札幌で開催された。札幌開催は今回で3回目。当日は約100名が参集した
三浦氏は国及び北海道における教育の情報化の推進と校務の情報化の推進について講演。今後実施する研修への積極的な参加を促した。
平成29年12月に策定した「北海道における教育の情報化推進指針」(以下、北海道情報化指針)では、北海道における教育の情報化の目指す姿とそれを実現するための基盤づくりについて言及。目指す姿を次の4つの柱とした。▼子どもたちが適切な情報活用能力を身に付ける ▼ICTを活用した「分かる授業づくり」を実施する ▼遠隔授業、遠隔研修により、全道の教育の質の向上を図る ▼校務の情報化により、業務の効率化と学校運営の改善を図る。
4つの柱の内容について広く理解を得るため、平成30年5月に「教育の情報化に関する実践事例集」を発行。前述「目指す姿」に関連した7小中学校2高等学校1教委の事例を示すとともに小学校における情報教育の全体計画例も例示。さらにプログラミング教育事例も今後追加する予定で準備中だ。
北海道情報化指針を実現するため、通信環境や機器の整備、研修の充実、遠隔授業実施のためのノウハウの確立及び共有のために活用するよう訴えた。
広域分散型の北海道においては、地理的状況等から再編が困難な高校を地域連携特例校とし、協力校と連携した取組を行っており、その1つとして遠隔授業を平成20年度から開始。実物投影機の映像と配信側の様子を同時に配信できるビデオ会議システムを用いて、書道の遠隔授業を実施するなど、平成28年度から取組を本格化。平成30年度は理科、書道、数学、情報、美術、外国語、倫理、外国語などで遠隔授業を展開している。
高等学校の取組の成果を生かし、小中学校における導入の在り方について平成27年度から調査研究を開始。
留萌市立潮静小学校と旭山動物園とつないだ遠隔交流や、北海道教育大学附属函館中学校と奥尻町立奥尻中学校の生徒会がいじめ撲滅などに関する生徒会行事や交流活動の意見交換を行った例を紹介した。
小学校プログラミング教育の円滑な実施に向け、北海道情報化指針に位置付けるとともに道内全教員に配布した「小学校教育課程編成の手引」のトピックにプログラミング教育を掲載するなどのほか、次の研修事業を展開している。▼タブレット活用研修講座 ▼「市町村教委連携」研修講座 ▼「管内研修センター等連携」研修講座(ミニ道研)
北海道立教育研究所では、今年度4管内でプログラミング教育に関する研修を実施。プロジェクト研究を立ち上げて情報発信を予定しており、平成31年1月にはプログラミング教育事業を実施する。
北海道では平成27年度から校務支援システム導入の取組をモデル校で実施しており、年間平均で116・9時間、1日あたり29分間が削減されている。
不登校傾向のある児童を早期に把握し生徒指導上の効果が上がった学校もある。一方で削減効果は学校により年間64時間から221時間と幅がある。好事例を参考に校務そのものを見直すことで教育の充実を図ってほしい。
【講師】北海道教育庁 教育環境支援課主査 三浦新一郎氏
【第52回教育委員会対象セミナー・札幌:2018年10月12日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2018年11月5日号掲載