教育委員会対象セミナーは12月2日、東京都内で開催。教育委員会と教員が100人以上参集した。当日の講演内容の一部を新年号と2月号で紹介する。
君津市立清和小学校(千葉県・児童51人)の三平大輔教諭が1人1台端末におけるMEXCBT活用について報告した。
本校にGIGA端末(iPad+キーボード)が導入されたのは2021年1月だが、2018年にプログラミング授業を開始しており、2020年にはプログラミングコンテストにも参加。LEGOやRootのプログラミングにも早々に挑戦していたことから、1人1台端末活用はスムーズに進んだ。これがMEXCBT活用の素地になった。
本校ではデジタルドリルを導入しており、子供たちはポイント蓄積なども楽しみながら取り組んでいる。一方で、指導者の実感として、本当に理解できているのか、惰性で解答を選択しているのではないか、学力として身についているのかなど、デジタルドリルという学習形式に対する疑問もあった。しかし、MEXCBTでは全国学力・学習状況調査や他の都道府県の問題、英検問題など、様々な問題が利用でき、これに挑戦してみたいという声があり、2021年に君津市教育委員会に働きかけ、実証用学習eポータルの登録の許可を得て、市内初のMEXCBT活用校となった。
2021年度からMEXCBTで、「ちばっこチャレンジ100」(千葉県教育委員会が提供するドリルデータ)や、全国学力・学習状況調査の過去問題を活用し始めた。
導入済の2種類のデジタルドリルに加えて第3のドリルとして、朝の10分間学習や家庭学習、授業でも活用した。教科は理科、算数、国語など。動画を見て答える問題を配信し、児童は端末を使用して解答することに挑戦した。さらに、他の自治体の問題にも積極的に取り組んだ。
今年度はMEXCBTを、月末の基礎学力定着テスト(紙)の再テストとして活用するため独自問題の作成に着手している。
独自問題を搭載する場合、MEXCBTのチェックが必要になるため、申請から搭載まで1~2週間程度かかる。そこで、テストを行いたい時期にMEXCBTに搭載されているよう、出題範囲を決めたらすぐに準備をした。
独自問題は23問作成。前年度の実践を踏まえてできるだけ自動採点ができるような作問とした。例えば、英数記号は半角・全角どちらの入力でも正解とする、「6・0」でも6でも正解とする、面積を求める式の順番は、例えば「5×10÷2」でも「10×5÷2」でもよいとするなど、「許容解」を設定して調整した。
漢字は本来書くことが重要だが、MEXCBTでは文意を読み取り、正しく漢字に変換する問題とした。
理科では、授業で実際に撮影した画像を使用して植物や種子などの問題を作成した。
高学年では、流れる水の働きについて、子供たちが実際に端末で撮影した動画をGoogle Classroomにアップしてもらい、問題作りの素材として使用した。授業で実際に学んだことを問題にすることで、より理解が深まると考えている。
児童は自分が取り組みたい問題を教員に配信してもらい、解くこととしている。
MEXCBTでは問題によって英数字が半角や全角入力を求められる。本校の端末はiPadのため英数字を全角に変換することが必要である。また、10インチでは、全国学力・学習状況調査の問題が鮮明に見えないことがわかり、iPadでMEXCBTを活用する時の課題が明らかとなった。このほかにも、音声の問題でマイクやイヤホンが正常に起動するか、文字は適正な大きさで見えるかなど、実際に問題に触れ、解いてみることによって、初めて分かることが多くある。
MEXCBTはまだ完成形ではないため、問題を解いていく中で様々なことが起きると考えて進める必要がある。不具合が起こればオンライン学習システム推進コンソーシアムに報告することで、機能改善が図られる。それが現在の段階であり、皆で試しながら、1つひとつクリアしていくことが重要である。
今後はMEXCBTを普段使いできるようになること、来年度から実施される全国学力・学習状況調査が円滑に実施できるように準備をしていく。
全国で問題作成が進むと、良質の問題が蓄積され、子供に合った問題を配信できると考えている。また、教員にとっては、問題作成の本質を考え直すよいきっかけになると考える。
子供たちが主体的に問題を選び、学習する機能なども搭載されればと期待している。MEXCBTを積極的に活用していくことで、その機能と活用効果は、より高まると考えている。
【第94回教育委員会対象セミナー・東京:2022年12月2日 】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2023年2月6日号掲載