教育委員会対象セミナーは12月2日、東京都内で開催。教育委員会と教員が100人以上参集した。当日の講演内容の一部を新年号と2月号で紹介する。
新潟市教育委員会(小中学校他167校)の安藤達郎指導主事は、新潟市の学習eポータルと教育データ活用について報告した。
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新潟市は、GIGAスクールの推進に向けてガイドラインを作成し、現場の教職員と意識の共有を図っている。児童生徒に対し、1人1台の端末を活用した授業を通して「たくましく生き抜く力」の育成と、教職員全てが自信と安心感をもって1人1台端末を活用した授業を実施できる状態を目指すことを基本方針とし、各学校で徹底してほしいことなどを具体的に示した。また「学びを深め、学校生活を豊かにする」「人が嫌がることや傷つけることはしない」という「新潟市GIGA宣言」を発し、端末を利用する際の考え方や意識の醸成を図った。
2021年に市の教育の情報化ビジョンを打ち出し、情報活用能力を育んでいくことや学校施設以外での通信環境の整備、家庭との連携など、教育長から教職員に直接呼びかけた。
本市では、端末を授業で毎日使用しているという割合は約85%と高いものの、「誰1人取り残さない」ためには100%となることが必要であると考えている。
端末活用を向上させ、さらに学習の質を高めるため、学習eポータル(L―Gate)を活用している。児童生徒用ダッシュボードの教材アプリをカスタマイズして様々なコンテンツを連携させることで、端末活用を促している。また、どのコンテンツをどのくらい活用しているかを継続的に把握・分析するとともに、「学校ICT端末利活用支援シート」を作成し、ICT支援員によるヒアリングも組み合わせ、学校に対し最適な支援を心掛けている。
中には、紙からの変化に対応できていない学校もある。そこで情報通信技術支援員に各校のヒアリングを依頼し、原因を調査。担当職員分のアカウントがないなど、学校により様々な原因があることが分かり、重点的に支援を行った。
児童生徒に対して教育委員会から直接ICT利活用を促す取組も行っている。
児童生徒のお知らせ機能を活用し、「今月どのくらい勉強しましたか」などのアンケートをGoogleフォームで作成し、教育委員会から児童生徒に直接送っている。さらにその回答結果を児童生徒に直接公表。主体的な学びや端末活用につながるようにしている。
毎週水曜日に「GIGA情報共有会」を実施。GIGA運営支援センターのメンバーやICT支援員にも参加してもらい、学校の利用状況やシステム上の課題など、専門的な情報を共有することで、各部署からの要望や提案が増え、取組の幅が広がっている。
例えば保健給食課から、SDGsについての行動を習慣化するような取組をしたいとの要望があった。そこで子供のSDGsにつながる行動をポイント化し、リアルタイムに表示するようにした。アンケートはGoogleフォームで作成し、学習eポータル上で発信する。SDGsの取組を促し、ICTの活用も進めることができた。
教育委員会以外の部署からの要望も出てきている。市の政策調整課から、市政に子供の意見を取り入れたいと要望があった。そこで「市のまちづくりについて考えよう!」として、市の総合計画のパブリックコメントへの参加を促したところ、100人以上の児童生徒から意見が寄せられた。その後、市長から子供たちに対しメッセージをフィードバックするなど、様々な形で取組が広がっている。
今後も学習eポータルを通じて端末活用率を向上させ、子供たちの情報活用能力の育成に取り組んでいく。
【第94回教育委員会対象セミナー・東京:2022年12月2日 】
教育家庭新聞 新春特別号 2023年1月1日号掲載