8月23日、島根県松江市では初の開催となる「第59回教育委員会対象セミナー・ICT機器の活用と校務の情報化の推進」を開催。鳥取県と島根県の教育委員会・学校教員が参集した。
2021年度に20周年を迎える鳥取湖陵高等学校は4学科5クラス。そのうちの1つ「情報学科 情報科学科」ではBYODで1人1台のiPadを活用している。入学後の説明会にiPadもしくはiPadproを指定して保護者に購入を依頼。今年度は全教室に無線LAN環境を整備し、ストレージ(NAS)も用意して活用を進めている。西尾教諭が報告した。
情報科学科では、情報技術者としての基礎を学ぶ「情報システムコース」、CGやアニメーションなどのメディア創作に携わる技術者を育成する「コンピュータデザインコース」を設置。BYOD環境は2015年7月、情報科1年生を対象に学校配備で1人1台のiPad活用からスタート。新入生が入学時に購入する形で継続している。
授業活用はフリーアプリを中心に、クラウド学習サービス「Classi」をフル活用。校内グループ機能で、授業ごとにグループを作ってグループ学習を実施。PTA懇談希望時間など保護者への連絡でも活躍している。
アンケート機能はその場で結果をグラフ表示できるので、課題設定時などで教員が活用。Webテストの仕組みも活用している。
生徒は自己評価やふり返りができるポートフォリオ機能でデータを蓄積。各教科でも様々な活用が見られる。家庭科ではお弁当のメニューを考えて写真に撮影して発表していた。農業科では映像を見ながら接ぎ木を実施。体育ではグループごとに創作ダンスの練習で撮影してふり返りや修正に使っていた。
人権教育LHRで発表したり、図書館既設看板のデザイン案を提案したりするなど、生徒がプレゼンテーションする機会も増えた。
学校祭などでの自主的な活用もみられる。ふるさと手作りまつりに参加した際は、球体のプログラミングロボット「スフィロ」をコースに合わせて動くようにプログラミングした。
特別支援学校とも交流。これまで、鳥取養護学校、白兎養護学校、鳥取大学附属特別支援学校、鳥取聾学校と人権教育などをテーマに交流授業を行っている。
HRでは、教員が予定をClassiに入力して生徒は各自の端末や教室の黒板提示で連絡事項を確認。SHRの時間が短縮した。保護者もClassiのIDを持っており、連絡に使うことができる。
生徒はタブレット端末をどの授業にでも携帯。指示されたときだけではなく、使いたいときに使っており、授業に関心を持った主体的な取組が増え、協働学習も取り組みやすくなった。入試倍率も向上。今年度は1・2倍になった。
十分に考えるまえに検索してしまう等の課題もある。今後は、自律的な活用の促進や家庭学習との接続、他教科の教員や保護者、他学科の生徒への理解周知などに取り組む。【講師】鳥取県立鳥取湖陵高等学校教諭・西尾敦氏
【第59回教育委員会対象セミナー・松江開催:2019年8月23日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2019年10月14日号掲載