8月9日、第58回教育委員会対象セミナーを京都市内で開催。関西地区の教育委員会や学技教員などが講師として、「新たな学び」に向けた準備としての環境整備や授業アイディアについて共有した
立命館守山中学校・高等学校がICT活用を教育の柱の1つとする「ICT Education」を掲げてから6年目を迎える。情報科教員でICTのインフラ整備や運用支援を担当する伊藤教諭は、その取組と成果を語った。
本校の全中高生約1450人はiPadをBYOD形式で活用しており、教員にもiPadとノートPCを配備。グラウンドを除く全館に無線LAN環境を整備している。
トラブル対応、年度更新、アプリなどの設定は、情報助手が担当。現在、情報助手3名、SE1名と共に5名のチームで学校ICT環境を支えている。これらの環境により、ICTが不足している時にはあきらめていたことが可能になった。
ICT活用により比較・共有・保存などが簡単かつ効果的に行えるようになり、協働学習に取り組みやすくなるとともに個別学習も充実した。
生徒はロイロノートで課題を提出。英語の授業では、リテリングを動画で撮影し合って確認している。生徒自身で撮影することで気付きが促進。動画により、教員も生徒の話す力を効率的に確認できる。
協働学習ではグループで話し合った結果をロイロノートにまとめて提出。他の生徒の考えを見ることもできる。
保護者への連絡をClassiで配信するなど、ICTは教育や学校を支えるインフラとなっている。
情報の授業では、2019年度から「学び方改革」に着手。
PCやテクノロジーを活用し、「わかる」から一歩踏み込んで「できる」生徒にしたいと考え、一斉授業から個別学習を中心に据え、個別学習の充実」「課題の再定義」「実技試験や自ら設定する課題制作を通じての成長」の3つに取り組んでいる。
教科書レベルの基本事項は家庭で学習。学校ではWebテストで確認する。
生徒はPCで、オンラインのプログラミング学習サービス「MOZER」や「Progate」でHTMLやCSS、Javascriptなどの学習を自分のペースで進めている。
Classiでは、校内グループに獲得目標や課題など授業内容を提示。欠席した生徒もそれを見て、課題などの準備を進めることができる。
本校のICT活用率が高い理由は教員が失敗を恐れずに、様々な場面で活用したから。これからも生徒と一緒に学びを創り出していく。【講師】立命館守山中学校・高等学校 総務・メディア教育部主任・伊藤久泰氏
【第58回教育委員会対象セミナー・京都:2019年8月9日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2019年9月9日号掲載