8月9日、第58回教育委員会対象セミナーを京都市内で開催。関西地区の教育委員会や学技教員などが講師として、「新たな学び」に向けた準備としての環境整備や授業アイディアについて共有した
禅宗の臨済宗妙心寺の教育機関として創設した花園中学高等学校は、これまでの中高一貫コースを廃止し、2016年4月にスーパーグローバルZENコース(SGZ)とディスカバリーコースを設置。AR/VRも活用し、グローバル人材育成に取り組んでいる。中村副校長が報告した。
新コース開始から、今年で4年目。初年度に入学した生徒は、今年度で高校1年になる。
スーパーグローバルZENコース(SGZ)は、禅の心を有する真のグローバル人材の育成が目的。禅の心を学び、高校卒業後は海外の大学への留学を目指すカリキュラムだ。
生徒は禅堂で毎朝20分間の早朝座禅を通して心を整えるスキルを体得し、自身の力に気付く。多感な時期である中高生だからこそ、静かに自分と向き合う時間が大切だ。日本人としてのアイデンティティを身につけた上で、ICTを活用した教育を展開。「禅の心」あってこそのICT活用である。
中学生はiPad(セルラーモデル)を活用。フィリピン・セブ島の語学学校とオンラインで週2回(1回約30分)、放課後や土曜日の特別授業などで英会話を実施。ヘッドセットを装着して現地の講師とマンツーマンで英語を学んでいる。
日本の小中高等学校では初となるzSpaceを2018年に導入。AR/VRを活用した授業を行っている。
zSpaceはアメリカのzSpace社が開発した、仮想空間を映し出すディスプレイだ。
アメリカでは800学区以上の小中高等学校や大学などで活用が進んでいる。
専用メガネを装着すると、人体や分子構造なども三次元で視聴することができる。目の前に広がるバーチャルな世界は生徒の好奇心を刺激する。
zSpaceは多様なコンテンツがあるが今のところ英語版が主。
そこで本校ではネイティブの講師が英語を使って理科や数学の授業を行うイマージョン理科やイマージョン数学で活用している。
さらにその他の授業にも活用するため、アプリ開発の企業と教員が共同して日本語版の開発を進めているところだ。
グローバル人材育成に向けて、企業連携も重要だ。
中学校3年生では、企業からミッションを受け取り、生徒が企画を提案している。
2018年度は日本マイクロソフト社等のミッション「MR(複合現実)の利活用がもたらす未来の生活を創造せよ」にチャレンジ。MRデバイス「HoloLens」を生活に役立てる方法についてグループでアイデアを出し合い、企業にプレゼンテーションした。
2019年度はJAXAのミッション「月面基地を作るには、どうしたら良いか」に挑戦。
このほか、Google、ソフトバンク、富士通などと協力して進めている。【講師】花園中学高等学校 副校長・中村広記氏
【第58回教育委員会対象セミナー・京都:2019年8月9日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2019年9月9日号掲載