新学習指導要領に、1人1台の情報端末活用などを始めとするICT環境整備の必要性が明記された。デジタル教科書・教材による効率的な一斉指導や個別学習、特別支援教育向けの活用や学習者用教科書による主体的な学びの実現、クラウド活用とビッグデータ分析による学習評価ツールとしての活用など様々な可能性が拡がっている。
東京書籍は、来年度の中学校教科書の発行にともない、教科書完全準拠の「デジタル教科書 新しい道徳」の発行を予定している。
今年度から完全実施となった小学校と同様に、教科化により、「考え、議論する道徳」を実現するための、多様な資料提示や授業展開の工夫が必要とされる指導の現場の支援をねらいとしている。
教材文すべてに朗読音声を収録。
見開き・拡大表示のいずれの画面でも対応し、途中の聞かせたい場所からでも手軽に再生できるようにした。
スライドショーは、さし絵と朗読による紙芝居風の資料提示で感動場面や葛藤場面に集中させることで、教材理解の深まりをねらいとする。
これらの機能により資料提示の工夫をしやすくなることで、限られた授業時間を有効に使うことが可能になる。
考え、議論するための資料・コンテンツも充実した。
教材に関連した出来事や場所、人物などを掘り下げ、より実感をもって題材と向き合うことのできる多様な映像資料を収録予定。学習テーマへの理解を深め、問題意識を喚起することで、生徒の主体的な思考、議論の活性化につなげる。
教材文の要所には「発問カード」を設置。
発問を大きく表示して、課題やテーマを常に共有できる。
役割演技を導入した体験活動を扱うページでは、学習内容に応じて活動の具体的なイメージをデジタルコンテンツで提示する。
さらに、「道徳ツール」として、心の葛藤を2つの色の割合で示す【心情円】、意見やキーワードの視覚的な整理・保存ができる【話し合いカード】の2つのツールで生徒の活発な議論をサポートする。
その他、本文の総ルビ分かち書き対応のデータ、白黒反転機能、付録のEPUB3データを提供。特別支援教育にも配慮する。
デジタルのメリットを生かした機能やコンテンツは、授業への興味づけや内容理解の深まりに加えて、授業の流れに応じて視点を変える、時間を区切る、といったアシスタント的な役割としても活用が期待されている。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2018年6月4日号掲載