8月1日、愛媛県松山市内で第90回教育委員会対象セミナーを開催。講演の一部を紹介する。
愛媛県独自のCBTシステム「えひめICT学習支援システム(EILS:エイリス)の開発運用について加賀山芳明担当係長が報告した。
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比較的新たなチャレンジが少なかった本県が、県内全20市町の理解を得て、本システムの開発に全国に先駆けて取り組んだ。
EILSは、県独自の学力調査等で活用するだけでなく、県内全公立学校(小中高等学校・特別支援学校)の定期テストや日々の小テストやドリル等をCBTで実施でき、結果を瞬時に採点・集計・分析できるシステムだ。
教員の独自テストも容易にCBT化できる点が大きな特長だ。選択式・短答式問題はすべて自動採点される。記述式問題はAIを活用し、採点が補助される。類型採点も可能で一括して採点ができ、採点のブレをなくせる点も大きい。
教員端末では、ヒストグラム、S―P表、クロス集計等、多種多様な集計結果を見ることができる。
また、作問においては、県教委作成のCBT化した学習教材(約1万問)や教員作成の良問を共有できる「コンテンツバンク」を活用して教員が自由に改編できる。
ソフトウェアキーボードも搭載されており、各教科や出題形式に対応できる。数式モード、化学式モード、予測変換停止機能、学年別漢字限定機能、不快語除去機能等を搭載。ローマ字入力やひらがな入力だけでなく、フリック入力にも対応している。
本システムの開発にあたり、2021年9月から12月まで全20市町のICT担当者とオンラインミーティングを実施。共通理解を図りつつ民間に委託してシステムを開発。2022年1~3月に試験運用を行い、今年度4月から全公立学校で本格運用を開始したところだ。
テスト作成・編集機能は既に実装済み。2学期以降に問題投稿機能をリリース予定だ。
児童生徒のトップ画面にはその日受けるテストや課題が一覧で表示されており、教員の設定した時間に合わせて一斉開始・一斉終了ができる。
県独自の学力調査では、行書を録画した約20秒間の動画(中学校国語)、図形問題で「点」が移動する動画(中学校数学)、リスニング音声(中学校英語)などCBTならではの問題が多く出題された。
今年度は6月と7月に、既に2回の学力調査を、悉皆で実施。現在、12月に学年別同一日時で実施予定である、小学校5年・中学校2年を対象とした学力調査に向けて準備を進めている。また、各校が実情に応じて自由に参加できる「10分間集中テスト」を毎月、作成・提供している。
読書通帳アプリやタイピング検定アプリも開発中であり、EILSの機能拡張を進めている。
現在、学習動画ライブラリを不登校児童生徒対象に約200本作成・提供。今後は、EILSと上手に組み合わせて活用していきたい。
本システムを活用することで、児童生徒の理解度を把握した上で授業を展開することが可能であり、「個別最適な学び」の更なる推進と「業務負担縮減」の実現を目指す。現在は、EILSの「学習eポータル化」を目指し、協議を重ねている。
【第90回教育委員会対象セミナー・松山:2022年8月1日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2022年9月5日号掲載