8月1日、愛媛県松山市内で第90回教育委員会対象セミナーを開催。講演の一部を紹介する。
ChromebookとGoogleWorkspaceを中心にGIGA端末を活用している上板町立高志小学校。中川校長は「この2年間で大きく変わった」とその変化について報告した。
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この2年間で多くのICT活用が「当たり前」になった。
まず、クラウドサービスだからこその校務効率化が進んでいる。
教員はLINEやチャットを利用。新型コロナウイルス等により状況は日々変わるが、迅速に連絡できる。
プールの抜水はちょうど良い量で止めなければならず、タイミングが難しいが、現在はGoogleMeetで中継し、体育主任が教室等で確認している。
同様に幼稚園の施錠も遠隔で確認できる。
検温や欠席・遅刻、水泳授業参加等の保護者連絡もほぼスマートフォンになり、朝の職員室で電話が鳴らなくなった。すべての教室や自宅、出張先からも共有でき、誰が欠席なのか等がすぐにわかる。
参観日では受付担当の教員が出席をチェックすると、各学級の担任がリアルタイムで共有できる。
Googleカレンダーは「保護者向け」「職員用」「個人用」を3つ作成。
「保護者向け」には学校の行事予定を記入している。校長や教頭、各教職員の予定は「職員用」で共有。出張スケジュールの調整や重複等のトラブル回避がしやすくなった。
共有ドライブには校長会、教員用、管理職、実習生それぞれのフォルダがあり、それを見れば何が行われているのかを管理職が把握できる。
校内研修の際も、動画や写真を管理職が撮影して共有しており、リアルタイムで参観ができなかった教員をフォローできる。
家庭訪問や個人懇談の内容も学年ごとに共有。
休日・夜間の学校電話は留守電になる。その間は連絡フォームで対応しており、グループチャット(管理職・養護教諭・事務職員)にフォームの内容が飛んで共有できる。
今ではハイフレックス授業も当たり前になった。
担任の負担がないように教室の授業をそのままGoogleMeetで配信。家庭とつないでいる。
教員が出勤できない場合も、自宅から授業を行うことができる。最近は保護者から「学校は休むが、自宅からmeetで参加する」という連絡も届く。
年度末に児童に調査したところ「欠席時も何をやっているのかわかる」という声が8割を占めた。
朝会や始業式、担任の発表もGoogleMeetで配信。保護者が録画を後日視聴できる。
Googlejamboardを使ったサイネージも行っている。
様々な情報を職員室で各自が記入しており、ピンチインで必要な部分のみを掲示している。
また、日々の朝・夕の心情を記録・その変化から危険な兆候を皆で共有している。
栄養教諭の発案で、黙食必須となっている給食時間に、給食調理の様子を撮影した動画を放映するなど教職員からも様々なアイデアが生まれている。
子供の活動も多様になった。子供は「共有」や「クラウド活用」のイメージを既に持っている。夏休みにはバーチャル登校を2回実施。昨年9月の急な休校に対応することができた。
GIGA端末のカメラは本当に便利である。これまでもあったが、1人1台あると全く異なる活動が可能になる。
算数の授業では、自宅で見つけた多角形や小数を撮影。次の日の授業はすぐに話し合いから始めることができた。
5年生が企画する「6年生を送る会」では、教室をつなげ、同時双方向で行うクイズ大会や、4年生対6年生のMinecraft上での迷路ゲームや脱出ゲーム、宝さがしを企画していた。
6年生の文集づくりでは、GoogleドライブやURLを共有して連絡し合っていた。
欠席している子供への連絡は、これまでは保護者を通す必要があったが、GoogleWorkspace上で自宅にいる子供と直接やり取りできる。端末持ち帰りの成果であると考えている。
【第90回教育委員会対象セミナー・松山:2022年8月1日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2022年9月5日号掲載