小学校では2020年度から新学習指導要領が始まる。これに伴い各社のデジタル教科書・教材、さらには紙の教科書が、従来とは大きく変わっている。紙の教科書に二次元コードやURLを掲載し、タブレット端末等で、リンクしているデジタル資料や教材を呼び出して活用できる教科書が増えた。特にその傾向が顕著なのは、小学校5・6年生に設置された新教科「小学校英語」の教科書だ。
文部科学省では、「教科書紙面へのURLや二次元コード等の掲載について、外国語の教科書の内容を音声化したものを教科書発行者のサイトに掲載した場合については積極的な記載を許容する」ことを小学校英語など外国語教科における「固有の条件」として位置付けることが適当であるとしている(教科用図書検定調査審議会「教科書の改善について(報告)」(2017年5月))。
東京書籍、光村図書、教育出版も二次元コードやリンクを充実。3社の教科書を採択した自治体は、合計で全国の8割を超えている。自由に児童がアクセスして音声や映像を視聴できるように、学習者用タブレットPC等の整備がさらに強く求められることになりそうだ。
5割以上の自治体で採択された「NEW HORIZON Elementary」は、教科書の各ページに、合計約200の二次元コードを設置。教材文や単語、英語の歌やチャンツ、映像資料などの、音声や動画を活用できる。
NEW HORIZON Elementaryは、「指導者用デジタル教科書(教材)」ではなく、教師用指導書付属の「指導者用デジタルブック」として提供。デジタルブックでは、紙の教科書からリンクする音声・映像教材を拡充。ゲームや語順パズル、ツール類も提供。4月1日から映像や音声を活用した授業がすぐにできるように教師用指導書付属にした。教員は教科書から直接二次元コードを読み込んでこれらの教材を活用でき、指導者用デジタルブックを使えばさらに多くのデジタル教材が活用できる。児童は、家庭のタブレットやスマートフォンを使えば、自宅においても教科書の二次元コードから教材にアクセスできる。「学習者用デジタル教科書」は別途提供。
「Here We Go!」は、全Unitの導入にアニメーションを用意。世界12か国で実際に生活する小学生を映像で紹介する「世界の友達」や「World Tour」の映像および「リスニング活動」「英語の歌」「チャンツ」「ジングル」などの音声は、教科書紙面の二次元コードから視聴できる。これらの映像・音声教材は、別売の指導書セット付属のDVDにも収録。様々な環境で活用できるようにした。
別売で、インプット重視の外国語学習を想定した学習者用デジタル教科書、指導者用デジタル教科書などを提供。
ふり仮名表示や音声再生を含んだ学習者用デジタル教科書。すべての英語表記の読み上げや二次元コードのコンテンツ、チャンツの動画、アルファベットの筆順アニメーションなどを搭載した学習者用デジタル教科書+教材。指導者用デジタル教科書には、これらのコンテンツに加え、授業の流れを示すサポートボタンや、Small Talkの実例動画などを搭載。小学校英語デジタル教材では、モジュール学習で活用できるアルファベット、音声やリズム、ワードの定着を促進する。
「ONE WORLD Smiles」は、教科書の目次に掲載された二次元コードから、音声や動画などの教材を掲載したWebサイト「まなびリンク」に接続できる。
「まなびリンク」では、指導者用デジタル教科書(教材)でも提供している音声や動画の一部が視聴でき、学習や指導に活用できる(関連6面)。
前述の小学校英語教科書を採択した松江市の松浦正敬教育長が9月、全50校の小中学校・義務教育学校でタブレット端末や無線LAN整備などを2020年度当初予算案に盛り込む考えを示したことを受け、松江市教育委員会では児童生徒用端末整備に向けた情報収集を進め、新しい教科書を有効に活用できる環境整備を進める考えだ。
小学校英語の円滑なスタートに向けて、タブレットPC等の整備が全国的に広がりそうだ。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2019年10月14日号掲載