9月17日、第60回教育委員会対象セミナー「ICT機器の整備計画・校務情報化の推進」を東京都内で開催。関東地区を中心に全国から教育関係者が参集した。講師は、八千代市教育センター主任指導主事・黒飛雅樹氏、富士見市教育委員会教育政務課主査・馬場規雄氏、相模原市教育センター指導主事・渡邊茂一氏、宝仙学園小学校教諭・吉金佳能氏、さいたま市立大宮北高等学校メディア管理部・筒井賢司氏。
さいたま市立の高等学校4校は独自のネットワークとICT環境を構築して授業改善に取り組んでいる。LTE端末の1人1台活用をスタートして3年目を迎えた大宮北高等学校の筒井教諭は、活用の様子や今後の更新予定について報告した。
さいたま市立4高等学校のネットワークは現在、サーバをデータセンターに構築しており、クラウドサービスも利用して4高等学校に様々な校務系システム-グルー-プウェア、メール配信システム、成績管理システムほかを提供している。
Society5・0の社会で生き抜く資質・能力を育むには、主体的・対話的で深い学びの実現が必須であり、その最も効果的方策がICTを利活用したアクティブ・ラーニングの実践であるという考えに基づき、本校では、学校全体の授業改善・教育力の向上を目指し、ICT環境の整備とタブレット・授業支援サービスの活用を軸とした教育力向上を進めている。研究授業も積極的に行っており、全国からの視察も数多く受け入れている。
入学から卒業まで生徒情報を一括管理。保護者メールでは、学校連絡も欠席連絡も行う。職員室には大型ディスプレイを設置して生徒の出欠状況を共有している。校内は無線環境を整備し、教員は自分のタブレットPCを教室に持ち込んで活用している。
大宮北高等学校では、すべてのホームルーム教室にプロジェクター型電子黒板を設置。黒板からホワイトボードに入れ替えた。
生徒端末はLTEで、現在、約1000台。スタディサプリとClassi、ClassiNOTEは全員登録済だ。生徒は端末を自宅でも利用しており、充電して登校、授業で活用している。
LTE端末1人1台活用は、2017年度の新入生からスタートした。
年度進行で整備し、文部科学省「全国の学校(普通教室)におけるICT環境整備のステップ」において、2019年度に全校がステージ4を達成した。なお理数科生徒に関しては2015年度より、無線LAN環境でデジタル教科書や授業資料等を同梱したノートPCを貸与しており、2015年度時点でステージ4を達成済である。
LTE端末は、ソフトバンクとの契約により当初はAndroid端末を使用していたが、今年度からiPadに変更した。故障も少なく、管理にかかる手間も減った。
現在の高校生はiPadを好む傾向にあるようで、新入生のiPadをうらやむ上級生も多い。
端末の管理はMDMで行っている。費用は学年費として毎月引き落としで保護者負担だ。
新入試対策として実施しているオンラインスピーキングトレーニングは30分間、ネイティブの講師と1対1で英会話を続けるもの。年間約10回、1・2年生で実施している。
今年度中のシステム更新の際には、「校内は無線LAN、校外はLTE回線、管理はMDM」という形で生徒用端末の活用を更に進める予定だ。【講師】さいたま市立大宮北高等学校メディア管理部・筒井賢司氏
【第60回教育委員会対象セミナー・東京開催:2019年9月17日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2019年10月14日号掲載