9月17日、第60回教育委員会対象セミナー「ICT機器の整備計画・校務情報化の推進」を東京都内で開催。関東地区を中心に全国から教育関係者が参集した。講師は、八千代市教育センター主任指導主事・黒飛雅樹氏、富士見市教育委員会教育政務課主査・馬場規雄氏、相模原市教育センター指導主事・渡邊茂一氏、宝仙学園小学校教諭・吉金佳能氏、さいたま市立大宮北高等学校メディア管理部・筒井賢司氏。
埼玉県富士見市教育委員会(小学校11校、中学校6校、特別支援学校1校)は2016年9月から富士見市立学校校務支援システムを整備・運用するとともに、文部科学省「教育情報セキュリティに関するポリシーガイドライン」が策定・公表される以前に、ガイドラインに倣った整備を構築している。
富士見市教育委員会のセキュリティの仕組みについて、馬場氏が報告した。
富士見市教育委員会では、全教職員のPCをセンターサーバで一括管理している。
校務支援システム「C4th」は、成績処理機能、保健機能、グループウェア機能を導入し、2009年度の補助事業で購入したPCをシンクライアントシステム(画面転送型)で活用している。
通信は高速光回線で、データセンターは事業者(NTT東日本)に構築。非常時には教員の自宅から操作することもできる。
セキュリティ確保のため、サーバを3つに分離。1台のPCで次の3台分の仮想デスクトップを操作する仕組みとした。▼コミュニケーションエリア∥事務処理、内部メール、グループウェア ▼セキュリティエリア∥個人情報、成績処理など。USBメモリ使用不可 ▼インターネットエリア∥コミュニケーションエリアの子画面でインターネットにアクセスする
セキュリティエリアは下部に赤いラインが表示されるので、今自分がどのエリアにいるのかが分かる。
重要なデータは学校には一切保存されず、データセンターに保存される。
これらの仕組みはプロポーザル提案方式で調達。受注者であるNTT東日本の提案の良かった点は、専用USBキーにより既存ノートPCの活用を可能としたこと。その分の予算をサーバ費用や運用支援に費やすことができた。
予備のPCも用意して故障やトラブルに備えているが、壊れるなどの障害頻度は極めて少ない。
サーバの運用管理には知識と技術が必要だが、シンクライアントとすることで、不具合等については、事業者(センターサーバ側)が対応。これまでであれば1週間以上かかることもあったトラブル対応が、現在は数時間程度で復旧できるようになった。
不具合やトラブルについては学校から直接ヘルプデスクに連絡して対応している。
導入前は、データは各学校のサーバに保存、USBメモリを使用できるのは管理者のみ、PCはスタンドアロンであるなど、セキュリティ対策が厳しく、管理負担もあり、学校現場にとっては不便な点もあったが、本仕組みの導入により、利便性が圧倒的に向上した。
学校現場の負担も軽減でき、教育委員会もトラブル対応のたびに学校に出向く必要がなくなった。【講師】富士見市教育委員会 教育政策課主査 馬場規雄氏
【第60回教育委員会対象セミナー・東京開催:2019年9月17日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2019年10月14日号掲載