教育家庭新聞社では、平成28年度から私立公立高等学校IT活用セミナーを開催している。平成30年3月2日、CIVI研修センター新大阪東で私立公立高等学校IT活用セミナーを開催。教員や教育委員会が約80名集まった。本年はeポートフォリオの事例に関心が集まっていた。
ワールドユースミーティング(WYM)とアジア学生交流プログラム(ASEP)の2つの国際交流プログラムに参加している東高等学校。情報科の池田教諭は参加に至った経緯と目的、成果を語った。
情報科や総合的な学習の時間の中で、eポートフォリオの活用に関連してプレゼンテーションに取り組む際、意欲が高まらないことがある。これを解決するためには具体的なゴールが必要であると考えた。
情報科の教員として生徒の傾向を調べると、SNSをほとんどの生徒が使い、スマートフォンの操作には慣れていても、キーボード、マウス操作は苦手な生徒が増えていると実感していた。
そこで、国際交流実践を開始。目的は、①主体的な情報活用能力の体得、②普段の生活についての多文化理解、③コミュニケーション力の習得。
プロジェクトに参加、運営することを通して、PCスキルやネットワークの知識、情報の収集・加工・発信力を身につける。また、同年齢の異文化の高校生との交流を通して、英語の表現力を養う。
WYMは毎年日本で夏休み期間中に実施されている国際交流会議。平成10年に開始、昨年20周年を迎えた。4月から教員スタッフの打合せが始まるが、生徒間のネットワークによる交流も頻繁に行われる。8月のプレゼンテーション大会には海外から参加者を招く。日本中の学校がホスト校になり、海外の生徒はホスト校に滞在しながら日本の生徒と英語を使って協働プレゼンテーションを行う。プレゼンテーション後はQ&Aセッションで、フロアから質問を受け、英語で活発な質疑応答がなされている。
ASEPは毎年12月下旬に台湾で高雄市政府教育局が全面協力して開催。10月頃から準備を始め、冬休みに台湾に集まり、台湾側ホスト校と海外からの参加校とで英語による国際プレゼンテーションを行う。日本からも様々な学校が参加している。
交流は人と人とのつながり。協働で作業しながら、国際プレゼンテーションをすることはALの良いゴールになっていると実感している。ICT活用でつながり、コラボレーションで共に学んで育つ。一過性ではない、継続的な国際交流である。【講師】大阪市立東高等学校 主務教諭・池田明氏
【第6回私立公立高等学校IT活用セミナー・大阪:2019年3月2日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2019年4月1日号掲載