教育家庭新聞社では、平成28年度から私立公立高等学校IT活用セミナーを開催している。平成30年3月2日、CIVI研修センター新大阪東で私立公立高等学校IT活用セミナーを開催。教員や教育委員会が約80名集まった。本年はeポートフォリオの事例に関心が集まっていた。
創立109年、野球部の強豪校で国公立大学90名前後の入学実績など文武両道の学校として地域の人気校でもある寝屋川高等学校。英語科の平尾指導教諭が同校に赴任した14年前は伝統的な授業形式であったが、府の予算でプロジェクターが整備された平成30年度よりICT活用と学力向上に取り組んでいる。
タブレットPCの1人1台整備を始めて3年目で、現在は約400台を授業で活用している。
65分授業33単位の学校で、月1回ペースで土曜日に公開研究会や授業参観、オープンスクールなどを行っている。クラブ活動は16時からで18時完全下校と毎日忙しい。そこで平成28年から始めた10分間朝学習を現在、放課後10分間学習「テンミニッツ」とし、授業支援システムを使って毎日、5時間目終了後に小テストをスマートフォンやタブレットに配信。帰りのSHRが始まるまで取り組んでいる。
英語の単語テストから始め、国語や社会科からも出題。小テストには真剣に取り組んでおり、入学時のレベルはほぼ同様の1年生と2年生だが、テンミニッツにしっかり取り組んでいた学年で上位層が増え、下位層が減少した。
数学はプレゼン形式の授業を継続して取り組んでおり、タブレット画面を無線でプロジェクター画面に提示して生徒が解法を説明している。論理的な発表能力が鍛えられているからうまく機能していると感じている。さらに教員が、難しい問題の解法などを中心に予習動画や授業動画を作成して授業支援システム上にアップしており、生徒に好評だ。
英語科の教員も動画を作成しアップしている。
一度作成すると、何度も活用できる。
若手教員が中心になり、AL型の授業を、ICTを活用しながら取り組んでいる。
視聴覚教室にはプロジェクターを2台設置してAL型の授業に取り組んでいる。疑問の提示がうまく、ALによる主体的で対話的な学びにつながっている。
コンセプトマップ(概念図)も活用。英語科では平成30年度、英語を読んだあとにコンセプトマップでキーワード化して英語でプレゼンテーションをする取組を開始。1年間続けた結果、リーディング力が伸びた。
体育の走り幅跳びでは、どのように跳べば遠くに跳べるのかをタブレットPCを使い、ユーチューブなどの動画を視聴して検討。バスケットボールでは、ゾーンディフェンスの方法について、グループごとにゲームを撮影して考えさせていた。
英語科では平成30年度に研修支援に取り組み、研究授業を2回実施。アンケートによると、授業デザインに対する理解が深まった、表現活動に対する積極性が増した、CANDOを意識するようになったなどの回答を得た。次年度は全教科で取り組み、寝屋川の授業が良い、という評価を目指す。【講師】大阪府立寝屋川高等学校指導教諭・平尾一成氏
【第6回私立公立高等学校IT活用セミナー・大阪:2019年3月2日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2019年4月1日号掲載