教育委員会や学校の整備担当者を対象に実施している「教育委員会対象セミナー~ICT機器の整備と活用・研修」が、10月26日大阪で開催された。次回は12月5日に東京で、2月8日に福岡で開催する。
坪田氏は昨年度まで、川西市教育委員会指導主事として川西市のICT環境整備を推進。小学校16校中学校7校、計23校の全普通教室372教室に大型提示装置を整備して「ステージ1」を完了した。その手法について報告した。
市では平成21年度の学校ICT環境整備事業(スクール・ニューディール推進事業)において国庫補助を活用してデジタルテレビや教員校務用PCの1人1台配備、プロジェクター、書画カメラの配備を実施しており、その更新が課題であった。
文部科学省の通知「平成30年度以降の学校におけるICT環境の整備方針」では、早急にステージ3(提示環境の全教室整備、無線LAN100%、可動式PC3クラスに付き1クラス分)を求めている。その予算が積算されている「教育のICT環境整備に関わる新たな地方財政措置」について、本市に措置されている予算を試算して財政課と折衝していたものの、予算は認められなかった。
そこで、まずはステージ1の整備をしっかり行って次につなげていくことに照準を定めた。
市ではプロジェクターや書画カメラの活用度を毎年調査している。
平成22年度は「ICT機器を使ったことがない」教員20%。昨年はそれが6・6%になり、使ったことがない教員は大幅に減った。
100%活用を目指し、活用していない教員にその理由をヒアリング。すると「気持ちはあるが実行できない」「苦手」「機器の持ち込みと準備が大変」「プロジェクターのランプが切れた。ランプが高額で購入できない」などの理由がある。
そこで、ICT機器更新時の整備内容を検討。リプレイス費用枠内でねん出できるように更新予定のハードやソフトを精査。活用度の低いものの更新は止めるとともに、小・中学校教育用ICT機器及びセンターサーバを一括更新。費用低減のため教育用PCはデスクトップPCとするなど予算内容を工夫した。
大型提示機器については、画面サイズ、寿命年数、価格、設置場所などを検討。その結果、光源2万時間、ランプ10年以上の寿命を持つ液晶プロジェクターに決定。
実物投影機は800万画素でデジタルズームができるものとし、小中学校すべての普通教室372教室(小学校262、中学校110)に、プロジェクター、実物投影機、マグネットスクリーンを100%配備した。
このほか、校務用PC1人1台、デジタルテレビは小中学校に各3台、電子黒板ユニットを小学校6台、中学校3台、ワイヤレスペンタブレットを小学校6台、中学校7台整備。
これらの整備により今年度は授業活用が進んでいる。
ICT整備により児童生徒の興味関心が高まるにつれ、教員の授業力向上にもつながった。
【講師】川西市立緑台小学校教頭・坪田城達氏(前・市教委指導主事)
【第53回教育委員会対象セミナー・大阪:2018年10月26日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2018年12月3日号掲載