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教育ICT

1人1台端末整備 5年計画で完了<淡路市教育委員会教育部長・西岡正雄氏>

2018年12月3日
第53回教育委員会対象セミナー・大阪

教育委員会や学校の整備担当者を対象に実施している「教育委員会対象セミナー~ICT機器の整備と活用・研修」が、10月26日大阪で開催された。次回は12月5日に東京で、2月8日に福岡で開催する。

「全校均等」にこだわりすぎない整備を

淡路市教育委員会教育部長・西岡正雄氏

淡路市教育委員会教育部長・西岡正雄氏

淡路市教育委員会は5年計画で児童生徒用タブレット端末の1人1台整備を完了した。5年間で約3億3千万円の整備内容だ。西岡氏はその理由と実現の手法、今後の計画について報告した。

淡路市の人口はこの5年間で3000人減、小学校は5校減の12校に、中学校5校は200人規模以下の学校が3校に増えた。高齢化も進んでいることから、定住人口維持の方策として教育の特色化に着手。同時に観光と企業誘致にも力を入れている。

スモールスケールを活かす身の丈にあった政策を標榜しつつ、県整備で不足している面を市が自前で行うこととし、21世紀に応じた学びを推進する教育研究活動活性化事業に着手したのが平成22年。平成24年度からはフロンティアプロジェクトを立ち上げ、タブレットを活用した教育の研究に着手。

導入したのはiPadだ。豊富なアプリでアプリコストがほぼかからない点、調達のしやすさ、故障の少なさ、児童生徒の活用しやすさがメリットであると考えた。ある中学校の生徒は朝、タブレット端末をロッカーから取り出し、その日の連絡事項を確認しており、朝学活の時間が短くなった。タブレット端末は一日中生徒の手元にある。

■研修員制度で他校に成果を広げる

市は「3000台を一気に導入」することも考えたが、教育長の考えもあり、学校単位ではなく市全体に広げるため、学校の現状を考えて「研修員制度」を創設して段階的に推進。時間はかかるが、短期に成果を求めるモデル校は、現場の疲弊を招くと考えたからだ。

研修員制度とは、希望する教員にタブレット端末や無線AP、プロジェクター、AppleTV等ICT機器を一式提供するもの。約80万円程度の内容で、市内転勤であれば、ICT機器は研修員が転勤先に持っていく、という先進的な試み。古河市や佐賀県、沖縄県浦添市なども同様のスキームで推進しているが、本市が草分けだ。

初年度である平成24年度は5名の教員から開始。すぐに授業ががらりと変わった。教材作りも進み、「やってみたい」と考える教員が増え、25年度15名、26年度は66名と毎年研修員を増やし、現在は全校に広がっている。

成功要因は「全校への均等整備」にこだわらなかった点。研修員のミッションを当初から「他校に広げる」こととして「人」に予算を付けた点だ。

現在タブレット端末は2898台。自分の実践を広げる力がある40歳前後の教員の影響力が大きかった。

■毎年約350台を予算化して継続整備

次の段階に進めるため、平成28年度から1人1台活用に向けた実証を開始して課題を洗い出した。1人1台活用における運用ルールは生徒会が決めた。

平成29年度は小学校4年生から1人1台、平成30年度は中学校の全生徒が1人1台環境となった。iTunesUの学校活用は本市が日本初。児童生徒が自分のペースで学習しやすくなったという大きな成果があった。国語のスピーチテストもデータで提出。この録画による評価方法は、教員の評価のブレを防ぐという効果があった。

1人1台環境では小4~中3までの6年間の学習履歴も蓄積できる。授業内容によっては4人に1台で活用するなど最善の方法を常に考えている。児童生徒は発表の機会が増え、主体性を持ち、話し合い活動も活発化。全国学力・学習状況調査にも良い影響が表れた。研修は教員同士で疑問点などを教え合っており、教員自身が学びの集団として成長している。

今後、毎年継続的に、新入生分として年間約350台を予算化。タブレット端末の整備を進めていく予定だ。

IoTは「流行り」ではなく、人類史を二分する本質的な変化。仕事の方法や意思決定の方法が変わるもの。それに耐えうる力を育むことを今後も目指していく。

【講師】淡路市教育委員会教育部長・西岡正雄氏

 

【第53回教育委員会対象セミナー・大阪:2018年10月26日

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2018年12月3日号掲載

  1. 聖心女子大学非常勤講師・榎本竜二氏
  2. 淡路市教育委員会教育部長・西岡正雄氏
  3. 川西市立緑台小学校教頭・坪田城達氏
  4. 和歌山県教育委員会総務課教育政策班主事・今井健多氏
  5. 篠山市立丹南中学校主幹教諭・中森邦広氏
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