教育委員会や学校の整備担当者を対象に実施している「教育委員会対象セミナー~IT機器の整備と活用と管理・研修」が、8月9日京都で開催され、約80名の教育委員会や教職員が参集した。
湖南市立甲西北中学校は、各学年5クラス程度の中規模校だ。平成29年度に滋賀県教育委員会「ICT活用モデル校事業」、県総合教育センター「ICT活用プロジェクト研究事業」の指定を受けた。本取組を植西教諭が報告した。
各教室に提示環境と書画カメラがある本校ではICTの以下4つの利点に着目して授業を設計した。①瞬時に資料を提示できる、②保存して繰り返し視聴・利用できる、③距離・空間を越えて交流できる、④みんなで学べる
昨年7月の公開授業では、1年「文字と式の利用」の単元で、まず、本時のねらい、ゴールをクラス全員で共有。スクリーンに五角形や六角形の形になるように碁石を投影。文字式を使って碁石の数を簡単に求める方法を考え、友だちにその考えを説明させた。2人に1台のペアグループでは、図に丸を書いたり消したりしながら式を考える姿、話し合う姿が見られた。生徒機の画面の一斉提示や生徒の解答も拡大提示した。
11月の公開授業は、図形の移動がテーマ。青色と赤色の三角形を回転、移動して重ねる。3秒ごとに各グループの画面が入れ替わるように設定して提示。カメラ機能で生徒各自が手元を写して、操作中の様子もクラス内で共有した。
3年生数学「標本調査」では、学校司書と連携。2種類の国語辞典でどちらが多く見出し語を収録しているか、標本調査を利用して考えることがねらい。まず、無作為に5ページを開き、各ページの見出し語数を調べる。しかし、5ページでは正確な値はでない。そこで、各生徒が異なる5ページを調べ、比較できるデータを増やして考察。同じ授業を他のクラスでもしているので、生徒個人のデータ、クラスのデータ、学年のデータを合算できるようにし、より正確な値を得ることができるようにした。本授業は、滋賀県総合教育センターがICTを活用した協働・双方向型学習活動を構築するための支援として制作した「学びのデザインマップ」を利用。「単元計画のデザインマップ」と授業1時間を設計する「授業計画のデザインマップ」からなる無料のアプリで、授業の設計を思いついたときにスマホに入力でき、授業の見通しや留意すべきポイントを一望できる。
【講師】湖南市立甲西北中学校教諭 植西亮太氏
【第50回教育委員会対象セミナー・京都:2018年8月9日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2018年9月3日号掲載