教育委員会や学校の整備担当者を対象に実施している「教育委員会対象セミナー~IT機器の整備と活用と管理・研修」が、8月9日京都で開催され、約80名の教育委員会や教職員が参集した。
平成24年度から教員が情報端末と電子黒板を活用する「堺スタイル」環境を小学校全2000教室に整備。国語・算数のデジタル教科書も導入して教育ICT活用の再スタートをきった堺市について、浦氏は、中学校での取組を報告した。
中学校の整備は小学校の整備終了から1年をおいた平成29年度からだ。「成果が出なければ残りの中学校の整備は要求しない」と財務を説得してモデル校3校分の予算を確保した。
小学校での成果が中学校にも浸透することで、中学校の授業改善の切り札になるのではないか、と考え、モデル校には授業改善を目的に教員用端末、動画転送付き無線AP、ディスプレイを整備。効果検証に取り組んだ。
中学校は小学校とは異なり、ディスプレイを黒板左側に固定設置。黒板スペースをそのまま活用できるように、かつ教室が狭くならないようにした。なお特別教室や特別支援学級については可動式で設置している。
モデル校では「大きく映す」ことがこれまで以上に簡単にできるようになり、活用頻度と共に自主研修が増え、ワークシートの質も変わった。それに伴い未整備40校から整備要望の声が高まり、今年度、予算を確保。今年3学期から全中学校で「堺スタイル」がスタートできるところだ。
「堺スタイル」の次は、校務支援システムと授業支援システムの連携にも着手。教員用端末を使って教室で出欠確認をし、その内容を校務支援システムで確認・修正後、システムに反映。小学校では実施済で、中学校でも来年以降検証を開始する。
特に中学校で高評価だったのが、職員室前の連絡黒板の電子化だ。これまでは、各クラスの日直が「連絡黒板」をチェックして教室に戻り、帰りの会で伝える、という方法であったが、トラブルも多かった。そこで各教室のディスプレイに何も映っていないときは、連絡黒板の内容を各教室に配信。クラブ活動など急な連絡の際にも確実に各教室に連絡できるようになった。
事前事後の研修は、何度も実施。全教員が受講できるまで同じ内容の研修を複数回行った。次は「児童生徒1人1台情報端末」の整備活用の検討段階に着手する考えだ。
【講師】堺市教育委員会・主任指導主事・浦嘉太郎氏
【第50回教育委員会対象セミナー・京都:2018年8月9日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2018年9月3日号掲載