第5回(今年度第1回)私立公立高等学校IT活用セミナーを東京で7月27日に開催した。生徒用タブレットPCや大型提示機器の導入を予定している高等学校の教員など約80名が参集、活発な情報交換が行なわれた。
佐藤教諭は紙とITが混在しており効率の面で課題があることから、改善に取り組んだ経緯を報告した。
中学校・高等学校が校務支援システムを導入したのは平成27年度だ。
導入前は教職員100人にPC30台――およそ3人に1台の割合でPCを活用し、校務関連はほぼ紙ベースで管理していた。
一部の教員はエクセルで成績処理を行っており、その教員に負担が集中。エクセルで計算した結果を紙に転記する、クラス担任はPCを使って順位を出して紙に転記するなど、紙とITが混在している状態であった。
紙とITが複雑に混在している上、エクセルの基本を知らない教員が多いこともあり、相互チェックの際にミスに気付きにくく確認作業に時間がかかるなど、効率の悪さが課題であった。
当時は私1人でソフトを自作し、入試などに活用していた。
入試制度が毎年変更するため、その度、改良しており、負担も大きかった。私に何かあった場合のことも考えるようになった。
そこで、紙とITが混在する仕組みの再構築に着手。
担当教員が変わってもメンテナンスが継続でき、かつセキュリティも担保できるように、独自システムの構築ではなく、多くの学校で導入されているパッケージ化されたシステムで、かつMacOSで管理できる「スクールマスター」(ウェルダンシステム)を導入した。
MacOSの場合、サーバOSで大まかな設定が管理できる点もメリットだ。
導入・構築に際しては管理職を含めた成績検討委員会で検討。円滑に活用するため、まず中学校から導入・運用を開始した。災害が多く鎌倉にも過去、大津波が起こっていることから、クラウド上でのデータ保存は必須と考えている。
教員の多さから研修時間を早期に確保することが難しいため、運用の工夫として、マニュアルを丁寧に作成した。
無線LANを配備し、iPadも全教員に配布して会議のペーパーレス化を図っている。
セキュリティに関しては、校務系のネットワークを切り離し、必要なデータのやり取りは暗号化、二要素認証でアクセスするなどしている。
【講師】鎌倉女学院中学校・高等学校教諭・佐藤正二氏
【第5回私立公立高等学校IT活用セミナー・東京:2018年7月27日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2018年9月3日号掲載