3月24日、金沢市の金沢商工会議所で第48回教育委員会対象セミナーが開催された。5人の講師による講演の内容を紹介する。次回の第49回教育委員会対象セミナーは、7月5日に東京都墨田区のKFCホールで開催される。
富山県立砺波高等学校の東海直樹教諭は、同校のICT機器の整備の経緯や授業改善等の取組について報告した。
同校は平成28年度に県教育委員会からICTモデル校に指定され、28年6月にタブレット端末20台が導入された。無線LANのアクセスポイント(AP)、大型提示装置、スクリーン、実物投影機が導入されたが3台ずつのみだったため、使うたびに教員がそれらを教室に持って行き、10分の休み時間で準備するのは困難だった。無線LANを接続しようとしても数分待たないと通信が始まらないことや、隣り合う教室で使うAPを2台設置すると干渉して使えなくなる等、当初の計画通りにはいかない点があった。
6月に納入会社と教員向けにタブレット端末の説明会を開催。石川県立金沢錦丘高等学校を見学した。様々なICT機器を使った授業が行われていた。スクリーンの映像が見やすいように、前半分だけに遮光カーテンを付けるなど参考になる工夫もあり、同校でも同様に取り付けた。
10月に公開授業を行った。APを設置し、タブレット端末、大型提示装置、スクリーンを活用した。国語の現代文の授業ではグループで試験問題を作って発表し合った。数学の授業では立体図形をスクリーンに投影して様々な方向から見た。物理の実験では実験用のソフトをタブレット端末にインストールし、計測したデータを入力してグラフにした。12月には日本マイクロソフトの「21世紀の教室」による教員研修を実施し、タブレット端末を使った授業の方法を学んだ。
1月にBluetooth接続のキーボードを20台購入。ペアリングしても生徒が操作を間違えて解消されたり、別の生徒同士がペアリングされたりといったトラブルが何度か起こった。29年度に入り、5月に総合教育センター情報訪問研修を実施した。佐賀県立佐賀西高等学校を見学。教員や生徒がどのタイミングでタブレット端末を活用するのか等参考になった。
5月に2度目の公開授業を実施。国語ではタブレット端末を使い、古文の小テストに2人1組で解答したり、脚注の解説だけでは理解しにくい言葉を画像で示したりした。見学者からは「なじみの薄い語や物のイメージを示すのは効果的」等の感想があった。日本史では、碑文の口語訳をタブレット端末で見たり、スクリーンに図表を示しながら内容を説明したりした。「提示することで理解の助けにつながる」等の感想を得た。
8月にはタブレット端末が20台配備されて計40台になった。無線LANのAP、大型提示装置、黒板貼り付けスクリーンが全ての普通教室に常設される等の整備が行われた。2月には研修会も行った。
30年度は、Moodle、Microsoft Office365、Google Educationを授業で使用して比較する。Moodleは主に学習記録の入力に使用。Google Educationは今後ディスカッション機能の活用を考えている。一部で始めているが、BYODにもさらに取り組みたい。
【講師】富山県立砺波高等学校・東海直樹教諭
【第48回教育委員会対象セミナー・金沢:2018年3月24日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2018年5月7日号掲載