3月24日、金沢市の金沢商工会議所で第48回教育委員会対象セミナーが開催された。5人の講師による講演の内容を紹介する。次回の第49回教育委員会対象セミナーは、7月5日に東京都墨田区のKFCホールで開催される。
石川県加賀市教育委員会の可部谷孝嗣氏は、同市のICT整備や平成27年度から進めているプログラミング教育の取組について報告した。
27年度には小学校のクラブ活動や課外活動で自動車型ロボットを活用したロボレーブというプログラミング教育を展開。28年度から、小学4年生から中学2年生の総合的な学習の時間と、中学3年生の技術・家庭科で年間5時間のプログラミング教育を順次開始した。29年度から授業研究を実施している。
26年度に市でロボレーブの大会を初開催し、成績上位7名の小中学生を27年度にアメリカで行われた世界大会に派遣した。27年度から国際大会を事業としてスタートし、29年度の第3回大会には国内外の146チーム415名が参加した。成績上位の市内の小学生3名を2月に北京で開催されたアジア大会へ派遣し、中学生3名を5月にアメリカで開催される世界大会に派遣する予定。ロボレーブを活用するために、27年度に計140台のロボットと計100台のノートPCを全小学校に配備。29年度には3年生の技術・家庭科の授業で活用する中学校全6校のうち5校に40台、小規模の1校に30台を追加配備した。
プログラミング教育の準備として、総務省の「若年層に対するプログラミング教育の普及促進」を活用。特定NPO法人みんなのコードと協働で教員に研修を実施している。ロボレーブの研修を27年度から開始。「Hour of Code」は28年度から研修を開始した。教員はみんなのコードの講師の模擬授業を受け、児童にプログラミング教室のような形で指導や補助をした。Scratchは29年度に新たに研修を開始し、夏季休業中に複数回実施した。
4年生では主に「「Hour of Code」の「古典的な迷路」を活用する。アンプラグドも活用して探究的な学習になるように構成している。5年生ではScratchを活用。PCで作品を創るだけではなく、意図を言葉で発表している。6年生は31年度からmicro:bitを活用してプログラミングを学ぶ予定。30年度の夏季休業中に教員向け研修を行う。
教員に負担がかからないように、5時間分の授業展開を教材も含めて市教委が提供している。ICT支援員も派遣し、子供のサポートや機器のトラブルへの対処を行う。30年度は要請のある学校の4年生の各学級に2時間、5・6年生と中学1年生の各学級に3時間派遣する予定。
市では「Raspberry Pi」を使ったプログラミング教室を夏季休業中に開催しており、29年度は約250名が参加した。子供の興味・関心の向上につなげていく。
「プログラミング教育中核教員養成事業」も行っている。教科内での取組を研究し、実践した内容を校内・市内で共有して広めることが目的。10名の教員に1人あたり10台のタブレット端末を貸与し、プログラミング研修会参加への旅費の支出等をする。29年度には6回の研修を行い、学習指導案を検討して2学期に研究授業や公開授業をした。
【講師】加賀市教育委員会学校指導課・可部谷孝嗣指導主事
【第48回教育委員会対象セミナー・金沢:2018年3月24日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2018年5月7日号掲載