おいしくて安全な学校給食の運営、食に関する様々な課題に対応する力を養うため食の指導の充実等、学校給食に求められる多くの課題解決に向け弊社は2月1日「学校給食向上セミナー」を都内で開催。栄養教諭・学校栄養士、給食施設・運営に係る教育委員会の担当者が参加した。
学校給食の現状と課題について文部科学省から基調講演、続いて給食費の公会計化、給食センター整備計画、調理現場の衛生管理、ICT活用による食の指導など、実施運営上の課題に対する事例報告が行われた。さらに残菜記録作業やアレルギー指導・対策の効率化、調理場の環境整備などの課題解決のメーカー提案が、会場で説明・展示された。
町立小中学校各1校の学校給食を、給食施設の閉鎖により隣接市の給食センターに調理委託したことを契機に、給食費等学校徴収金を公会計化に切り替えた千葉県御宿町。「給食費の公会計化導入までの歩み」と題し同町教育委員会教育課課長・吉野信次氏が報告した。
◇
給食の対象は児童172名、生徒115名、2校の教職員等は52名で合計339名。学校給食共同調理場は2021年3月、施設設備の老朽化や調理員の人材確保の困難により閉鎖。隣接の勝浦市の学校給食共同調理場に供給を委託した。
給食費は、小学校入学までに保護者に郵便局の口座を開設してもらい、教員が給食費分の現金を毎月引き出し、別の金融機関の給食専用口座に入金していた。その他の徴収金は現金で学校が集金。中学校は給食費含む徴収金を現金で毎月集金し、それぞれの専用口座に入金していた。
教員の負担軽減のため町は給食費の公会計化を進めたが、新たな事務として給食費の集金、消し込み、納付管理を行う職員を補充しなければならなくなる。
システム選定に当たって重視したポイントは、①システム利用料、管理手数料、口座引き落とし手数料以外、職員は補充せず管理が任せられる②支払い方法の選択肢が多いこと③給食費は町の一般会計口座、他の徴収金は学校の指定口座に分け振り込める④教員が子供たちに向き合う時間を増やせること。
導入に当たり、職員を増やさず委託できる業務は委託事業にすることで庁内の同意を図った。議会は、給食費等の集金状況、教職員の事務の負担軽減、保護者の支払い方法の選択肢が多いことを説明し、補正予算の承認を得た。
システム導入による学校現場のメリットは①多額の現金を取り扱わなくなった②別の校務の時間にあてられるようになった③学校徴収金も併せて徴収できるので出納の管理がしやすくなった④学校に配置してあるパソコンから教員が学校徴収金の集金額を変更できるなど。
システムが稼働して不便に感じたこと。
○クレジット払い、口座引き落とし、電話合算請求書と保護者の支払い選択肢は増えたが、実際の入金までにタイムラグが発生。給食費は毎月定額で最後の月に調整するが、学校徴収金は、必要な月が決まっているためタイムラグを見越して早めの集金をしなければならないこと。
○給食費は年度末までに全て納付されているが、そのためには、銀行口座払いの保護者へは引落し日前に一斉メールの配信を行い注意喚起している。それでも引落しできなかった保護者については、学校が集金しなければならないこと。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2024年2月19日号掲載