おいしくて安全な学校給食の運営、食に関する様々な課題に対応する力を養うため食の指導の充実等、学校給食に求められる多くの課題解決に向け弊社は2月1日「学校給食向上セミナー」を都内で開催。栄養教諭・学校栄養士、給食施設・運営に係る教育委員会の担当者が参加した。
学校給食の現状と課題について文部科学省から基調講演、続いて給食費の公会計化、給食センター整備計画、調理現場の衛生管理、ICT活用による食の指導など、実施運営上の課題に対する事例報告が行われた。さらに残菜記録作業やアレルギー指導・対策の効率化、調理場の環境整備などの課題解決のメーカー提案が、会場で説明・展示された。
地場産物活用等学校給食の現状と課題について、文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課の食育調査官・山上望氏が「学校における食育の推進と学校給食の充実」をテーマに講演した。
◇
「学校給食の充実」について。第4次食育推進基本計画では、学校給食の地場産物・国産食材を使用する割合が維持・向上した都道府県の割合を2025年度までにそれぞれ90%以上(43都道府県以上)、栄養教諭による地場産物を活用した食の指導が月12回以上などが目標。今後も目標達成に向けて国の支援事業を活用してほしい。
学校や教職員の事務負担軽減のため文科省は学校給食費の徴収等の公会計化を推進しているが、22年度実施予定のない自治体数は520。費用面等が主な理由だが今後も状況に合わせて検討してほしい。
学校給食費の無償化については、昨年6月13日閣議決定した「こども未来戦略方針」において、1年以内に全国の実態調査を行い公表することとしており、現在、自治体に協力をいただきながら調査を実施している。
学校給食の危機管理対応は、食中毒、異物混入、食物アレルギー、窒息事故等に対して「未然防止」の徹底と発生時の「迅速な対応」が重要。『学校給食衛生管理基準』や『食に関する指導の手引』を参照してほしい。
次に「食に関する指導の充実」について。23年度で栄養教諭は全国6924人、栄養職員と合わせ1万533人が配置され、給食実施校への配置率は37・7%。専門性を活かし食に関する指導と給食管理を一体に行うことが職務とされている。23年3月の「食に関する指導」の実態調査で、給食時間の児童生徒への直接指導の頻度は、「週5日」という回答が20%、「週3~4日」が26%、「週1~2日」が22%、最も多かったのは「週1日未満」(32%)だった。さらに健康課題を有する児童生徒への個別的な相談指導を「実施している」は35%だった。
文科省の協力者会議が昨年1月、栄養教諭に求められる役割(職務の範囲)の明確化、「資質の向上に関する指標」を基軸とした養成と採用・研修の接続と連携、新たな教員研修制度下における実効性のある研修機会の確保、職務遂行のインフラとしてのICTの積極的な活用が指摘事項として、課題とされた。
文科省は今年度に引き続き来年度も「食に関する健康課題対策支援事業」を実施予定。個別的な相談指導の充実及び栄養教諭の指導力の向上が目的で、個別指導の手法等の研修会開催、学校に指導者等を派遣して栄養教諭に直接指導等を行うなど、公募で選定された地域での成果を全国展開することで、全体の底上げを図るものである。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2024年2月19日号掲載