10月20日、大阪市内で第102回教育委員会対象セミナーを開催。3つの教育委員会が端末の共同調達、ゼロトラストネットワーク、AL教室の学びを、2つの中学校がICTを活用した授業改善について報告した。
守口市立八雲中学校は、昨年度より大阪府のスマートスクール実現モデル校に、今年度よりリーディングDXスクールに指定されており、クラウド型授業と反転学習に力を入れている。端末はiPad、学習プラットフォームはMicrosoftを使用。丸川教諭は「2年間、iPadを使い倒してきた」と話す。八雲中学校リーディングDXポータルサイト:https://sway.office.com/3E7153LfWzhf9Mpv?ref=Link
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クラウド型授業のメリットは、共同編集・相互参照・相互評価ができること。これを生かした授業づくりを意識して取り組んでいる。
例えば、国語「主人公の生き様に対して自分の考えをまとめよう」の実践ではTeamsを活用。人物の相関図をPowerPointで共同編集し、主人公の生き方に賛成・反対の立場でExcelに個々の意見をまとめる。シンキングツールを使って構成を練り、相互参照して良い意見を引用したりもしながら作文を完成させていた。音楽の合唱の授業では端末で音源を聞いたり、Jamboardで曲のイメージを共有したりして練習を重ねていた。理科のねるねるねるねの色が変わる理由を突き止める実験ではCanvaを使って相互参照しつつレポートを作成。
使えるものは何でも使って学びを保障しようと、MicrosoftやGoogle、Appleのアプリ、Canvaなど、それぞれの強みを生かして様々なツールを活用している。講義型の授業も教員が話すことに終始せず、動画を使いながら進めている。
講義型の授業からアクティブラーニングへの転換を図るため反転学習を取り入れた。基礎・基本的な内容を事前に家庭で学習してから授業に臨むことで、授業では考えたり、議論したりする時間を確保し、発展的な内容を取り扱うことも可能になる。
家庭学習課題には主にNHKforSchoolを活用。教員が動画を作成することもある。大変ではないかと聞かれることも多いが、PowerPointを作り音声を吹き込むだけなので、慣れれば30分程度で作成できる。
家庭学習課題は生徒の負担も考慮し10~20分程度で完了するものとした。理解度を把握するため、小テストの実施や簡単なレポートの提出を求めるなどの工夫も行っている。
導入時には教材作成の負担を理解した上で取り組まないとうまくいかないだろう。
2年間取り組んだ結果、生徒の学習意欲の向上や家庭での学習時間の増加が見られた。これからも継続していきたいと考えている。
校内のICT活用を促進するため、まず校務での活用に取り組んだ。校務を通してICTやクラウドの便利さを実感してもらうことが授業改善につながる。出席簿をExcelで共同編集したり、研究協議会ではJamboardを使って意見をまとめたり、既存の業務をICTに置き換えて活用方法を広げていった。
実践は積極的に発信。校内ではTeamsの投稿を活用して授業実践事例や活用アイデアを共有。校外に向けてはMicrosoftSwayでポータルサイトを作成。指導案や実践事例を掲載している。
学校全体で同じ方向性を持ってICT活用をできるよう組織的な取組のコーディネートも意識。各学年の教員が参加し週1回実施する授業研究会議は時間割に割り当てて必ず実施し進捗状況を共有している。
【第102回教育委員会対象セミナー・大阪:2023年10月20日 】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2023年12月4日号掲載