教育委員会対象セミナー「GIGAスクール構想 ICT機器の整備・活用」を3月1日神戸、3月9日福岡、3月16日静岡で開催。講演内容の一部を報告する。神戸開催は初。
2014年度から1人1台のiPadを導入して7年目を迎える敬愛小学校の龍副校長は「様々なアイデアを柔軟に実現していくこと、新しい仕組みを取り入れた挑戦は、子供の学びの刺激にもつながっていく」と話した。
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子供たちには各家庭で現行販売モデルのiPadを入学時に購入してもらっている。iPadは毎日持ち帰っており、充電、OSの更新、学校指定のアプリのインストールなどすべて家庭で行っている。
オンライン授業は3月から6月まで行った。96%の家庭にWiFi環境があり、ない家庭に対しては、LTEのChromebookを提供。これは企業からの支援だ。
通常の授業をZoomで配信。職員間で事例を共有しながら進めた。
入学式もオンラインで行った。大雪で臨時休校になった際も前日に連絡してオンライン授業を実施。1年生からネイティブ講師が週3回行っている英語では、画面に書き込みながら説明したり、教員が話している様子を配信したり、児童と画面やチャットを通してやりとりを行なった。
遠隔授業のポイントは、授業デザインの変更だ。自ら学びたいと思える課題やテーマを設定することを心掛けた。
答えのない問題を解決していく力をつけるためには、教員もまた、今起こっている休校等の課題を乗りこえなければならない。クラスメートと協働できているか、フィードバックをしているかなどいくつかのポイントを示しながら進めた。振り返りもiPadに記入して毎時間提出をさせた。
休校期間中は、様々な取組に挑戦。オンライン図書館やオンライン保健室、オンライン英会話、委員会活動などだ。放課後に自由参加する「敬愛チャンネル」では、お菓子作りやクイズ大会など、それぞれの教員の得意分野を活かして実施した。保護者・児童に毎月アンケートを実施。「皆と画面で会える、授業の様子がわかる」とおおむね好評だ。
授業では、学び合いや、自ら調べる、説明しあう、発表する活動中心の授業を目指して取り組んでいる。ICTを活用することで答え合わせも各自のペースで行うことができる。
テキスト入力について本校では1年生からローマ字入力を指導。どの児童もすぐに入力に慣れていく。
シンキングツールも積極的に活用している。例えば、1年生「おすすめの本を紹介しよう」では、登場人物や季節、好きなところ、お気に入りのページなどの観点をクラゲチャートで示してテキストにまとめた。
6年生は「北九州の未来」をテーマに、思考ツールで可視化して意見文をまとめた。
英語のスピーキングの宿題や国語の音読はiPadに録音してアプリを使って提出。
算数や英検・漢検の練習問題を共有の資料箱に格納してあり、朝学習のほか、課題が終わった児童に配信して取り組んでいる。
社会ではバングラデシュからの中継授業を実施した。英語の学習では北海道・新潟・東京の学校と交流会も実施。オンラインで英語によりやりとりを重ねていくと、子供の自信になっていく。
プログラミング学習は週1時間設定している「情報」の授業内で実施している。
公開授業もオンラインで行った。保護者面談で、Zoom面談と対面とを選択できるようにしたところ、半数がオンラインを希望した。
保護者の役員会もオンラインで実施。保護者によるバザーもWeb上でバザー品を予約できるようにし、決済には電子マネー(PayPay)を使った。
マラソン大会では保護者の協力を得、カメラ7台を使って中継した。学習発表会や卒業式もオンラインを活用して配信を行った。
非接触型体温計も設置。保護者の検温記録の手間を省いた。【講師】鎮西敬愛学園敬愛小学校副校長・龍達也氏
【第74回教育委員会対象セミナー・福岡:2021年3月9日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年4月5日号掲載