教育委員会対象セミナー「GIGAスクール構想 ICT機器の整備・活用」を3月1日神戸、3月9日福岡、3月16日静岡で開催。講演内容の一部を報告する。神戸開催は初。
久留米市委員会は、教育基本振興計画「ともに未来を創る久留米っ子」を今年度から刷新して推進している。教育ICT推進課の宮原知行主任主事と平島雅之指導主事が同市の整備と管理のポイントを報告した。
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久留米市立学校(小学校46校、中学校17校、特別支援学校1校、高等学校2校)の児童生徒は約2万5000人、教員は約2000人。GIGAスクール構想の環境整備、運用保守には大きな予算が必要となっており、低コストでの実現が求められている。
今回、小学校・中学校・高校にはChromebook、特別支援学校にはiPadを配備する。また、インターネットへは、各校から直接接続する構成(インターネットブレイクアウト)とした。クラウド活用には安定したネットワーク環境が必要であるため、校務系と別に学習系のネットワークを新たに整備している。年度内に整備を完了し、2021年4月からは新しい環境で学びが始まる。
ICTの活用を浸透させるためには、快適なICT環境を継続できる必要がある。そのためには、出来る限り低コストで運用できる必要があるため、端末、ネットワーク機器を、クラウドから一括で管理できる事が重要と考えている。
ルータ、アクセスポイント等のネットワーク機器は同じメーカーで統一しクラウドから一括管理できる構成にする事で、運用保守をシンプルにし、校内ネットワークは、スター型配線とし、機器にトラブルが発生した際の影響が最小限となる構成にしている。
端末(Chromebook、iPad)の運用保守についても、業務委託を低コストで実現するため、端末やアカウント管理について、ルールや仕組みを検討。
「児童生徒用アカウントは小学校1年生から中学校3年生まで9年間、同じものを使用する」「小学校6年間、中学校3年間、同じ端末を使う」等のルールを決め、年度が替わる際の作業などについて、現場の教職員の負担も少なくなるよう準備をしている。
4月からの活用に向けて、教育ICT実証校(小・中各1校)での実践の積み上げとターゲットを絞った職員研修の大きく2つの取組を行っている。実証校では操作研修を4回行い、そこで作成したマニュアルを一般校にも公開した。
低学年は、取り組みやすさを考えて、ドリルソフトを中心に行っている。高学年では、jamboard(デジタル付せん)やスプレッドシートを使った協働学習が増え、日常的に活用している。
各校では、中核となって取り組む教育ICT活用コーディネータとICT推進リーダーを決めた。ICT推進リーダー研修は、10月に操作方法、11月に実証校による公開授業参観、12月にGoogleキックスタートプログラム(プレ研修)、2月にオンデマンド型動画視聴による公開授業を実施。授業者インタビューも配信した。2月末には、Googleキックスタートプログラムのコア研修を受講した。ICT推進リーダーは、これらの研修で学んだことを2月と3月に、校内研修で他の職員に伝えている。授業ビデオの視聴やログインの方法、GoogleドキュメントやGoogleClassroom、GoogleMeetやドリル活用などだ。3月の研修では、配備されたGIGA端末を使って操作研修をすることもできた。
さらに、Googleサイトを立ち上げ、実証校の公開授業の動画や研修資料等を公開し、活用できるようにした。
各校の教育ICT活用コーディネータは、ICTを活用した授業づくりの助言、研修の企画、教育委員会や業者との連絡調整、端末やアカウントの管理も行う。
久留米市はGoogleパートナー自治体プログラムに参画し、Googleと連携しながら、さらに推進を図る。【講師】久留米市教育委員会教育ICT推進課主任主事・宮原知行氏、同指導主事・平島雅之氏
【第74回教育委員会対象セミナー・福岡:2021年3月9日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年4月5日号掲載