市長部局と連携した体制で迅速にGIGAスクール構想環境を準備しており、今年度中に約1万2000台のPCが配備される木更津市教育委員会(小学校18校 約7200人・中学校12校 約3500人)。三木氏が整備の経緯を報告。既に契約済の中学校ネットワーク整備事業に関する資料も参加者に提供した。
学校のICT環境整備については施設管理を行っている市長部局と運用を行っている教育委員会が連携して2020年度工事完了に向けて進める必要があると考え、意識して情報共有や連携を図るようにしてきた。連携がスムーズであることのメリットは大きく、今回の交付金申請を迅速に進めることができた。
統合型校務支援システムを3月に100%整備済で、2020年度に契約更新がある超高速インターネット、無線LAN、児童生徒用PCの更新が喫緊の課題であった。そこにGIGAスクール構想が始まったことから、教育委員会内で12月早々に打合せを行い、すぐに市長部局と情報を共有。2019年度補正予算の文部科学省補助金を利用するため、12月27日、市長説明を行って早期に方向性を決めた。
高速ネットワークは、1人1台配備されるPCのパフォーマンスを活かすために必要不可欠な整備であると考えて準備。次のような役割分担で進めた。
○総務部資産管理課=高速ネットワーク整備契約事務及び工事を担当。木更津市立小中学校空調整備事業において、学校にはエアコン導入の実績があり、GIGAスクール構想でも同様のスキームによるネットワークの構築を支援。
○財務部財政課=予算編成と執行管理。
○教育委員会教育総務課=1人1台PCの契約事務を担当
○同・学校教育課=学校基本情報の調査
○同・まなび支援センター=GIGAスクール構想導入計画の立案・事務局
「委託」ではなく「工事」としてプロポーザル方式としたのは、エアコン整備のノウハウを生かして進めることができると考えたからだ。
スケジュール管理やプロポーザル実施要領、設計書の作成、補助金申請など多くの業務を総務部資産管理課が担当。
まなび支援センターが、学校との連絡調整や仕様書の作成、ネットワーク接続機器一覧の作成ほかを担当。共有フォルダで情報を共有した。
3月下旬には公募型プロポーザルの準備を始め、募集要領を配布。3月27日に受付を開始し、5月に審査会を実施。新型コロナウイルス感染予防のため、動画による審査を行った。6月議会で承認を得て本契約となり、8月~翌年3月まで無線LANと充電保管庫を各校に順次配備する。
運用や研修については、教育委員会各部局や学校教員を構成員とした教育機器導入検討委員会を年2回実施して審議している。
PCについてはChromebook約1万2000台を配備する予定。8月に入札して9月議会に諮る計画で、キッティングしたPCを充電保管庫に納品する。
小学校コンピュータ室のPCは9月に契約満了で、新しいPCの配備まで、学校でPCを使えない期間が生じる。そこで、プログラミング用としてiPadとプログラミング教材を調達し、まなび支援センターに配備。希望する小学校に貸し出しを行う予定だ。
休校対応として、家庭に通信環境が不足している小学校6年生及び中学校3年生の約300世帯を対象に、WiFiルータとタブレットPCをセットで貸与。学校・家庭で使用できる学習支援ソフトとしてAIドリルも導入予定。また、高速通信ネットワークと1人1台のPCをトータルで保守管理ができるよう、別途契約を行う予定で、サポートデスクも一本化できるように調整中だ。
現在2名のICT支援員は今年度、4名に増員の予定。校務系など既存ネットワークを含む一元的な運用管理方法やクラウド・バイ・デフォルトを想定したセキュリティポリシーの見直しは、今後検討。【講師】木更津市教育委員会まなび支援センター主査・三木乾哉氏
【第67回教育委員会対象セミナー・東京:2020年7月22日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2020年8月3日号掲載