3月7日、教育家庭新聞社は大阪市内で、第8回私立公立高等学校IT活用セミナーを開催。5人の講師が1人1台PC活用を始めとした取組を報告した。
和歌山県立星林高等学校では2018年度から2年間、文部科学省教育課程研究指定校(情報)に、 県教育委員会からはプログラミングを学ぶ ICT(情報通信技術)教育のモデル校に指定されており、西川教諭はグループワークによるプログラミング学習に取り組んできた。
1年生2単位「社会と情報」でプログラミング教育を行った。実習環境は、PC室のWindowsPC42台、iPad15台。活用したのはHTML5やJavaScriptでiOS 及びAndroid向けのアプリを開発できる「Monaca」(アシアル)だ。「Monaca」では、開発環境をすべてWeb上に用意しているため、特別な準備は不要でプログラミングに取り組むことができる。また、Windows PCだけでiOSアプリの開発やストア公開も可能だ。
モバイルアプリ開発は生徒にとって、意欲向上や興味関心の喚起につながる。
授業では、Windows PCでアプリを開発し、iPadで動作させる。自宅で、自分のスマートフォンで確認している生徒もいた。
グループワークは、プログラミング全20時間のうち5時間を使って取り組んだ。
和歌山県が作成したプログラミング教育指導案に沿って学習を計画。順次、分岐、繰り返し、最後にグループワークで開発するという内容で、授業に落とし込むためには工夫が必要だ。
実習では、入力やデバックなどに時間がかかることから、4月当初よりキーボードスキル向上に取り組み、授業の合間の数分程度をWeb上のアプリを使っての練習時間にあてた。また、サンプルプログラムをテキストファイルで配布。簡単な説明と完成例、授業で使うであろう命令文を掲載したリファレンスも配布。これで授業進度のアップを図った。
1年目は先行事例のないなかの取組だったが、生徒は5択クイズアプリなどを自主的に制作。アクティブな授業となった。4人構成とし、グループワークとしては成立していたが、プログラミング以外の部分に焦点があたり、プログラミングに関する学びが少なかったことから、今年度はそれを踏まえ、3人グループで「タイマーアプリ」の作成を共通課題としクラウド上でグループ全員が同じプログラミングに取り組めるようにした。
「ベンチャー企業の開発チーム」として3人でアプリを開発。企画立案から始め、話し合いの内容は、シートに記録。評価は、自分と他メンバーについて、毎時間行った。コンペ方式で最後に発表し合い、生徒同士の相互評価も行うなどプログラミングの工夫に焦点が当たるようにした。
3人構成としたことによりグループワークは前年より円滑であったが、最後の発表時、13グループにもなり発表時間が長く集中力が落ちてしまった点は、今後の課題である。【講師】和歌山県立星林高等学校情報科教諭・西川充伸氏
【第8回私立公立高等学校IT活用セミナー・大阪:2020年3月7日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2020年4月6日号掲載