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教育ICT

科学的な思考力をICT活用で加速<江南市立西部中学校 教諭 岩田智文氏>

2020年3月2日
第65回教育委員会対象セミナー・名古屋

2月13日、名古屋市内で本セミナーを開催。教育委員会担当や教員が約100名来場した。

時間的・物理的な障壁をICTで乗り越える

江南市立西部中学校 教諭 岩田智文氏

江南市立西部中学校 教諭 岩田智文氏

理科でICTを用いて、生徒の科学的思考を育むことにつなげている中学校の取組を岩田教諭が報告。「アナログで実践しようとすると時間がかかる授業をデジタル化することで、ICT活用ならではの授業が展開できる」と話す。

客観性・普遍性・再現性の3つを満たして初めて「科学的」であると言える。客観性は誰が見ても同じ意見になること、普遍性は常にその現象が続くこと、再現性は誰もが同じ実験をすれば同じ結果が得られることだ。

ICTを活用する際に意識することは、教科の本質に迫った使い方だ。生徒が物理的な障壁「時間的な制約」「距離的な制約」を乗り越える活用を目指している。

時間的制約を乗り越えるのに特別な学習支援ソフトは必要なく、Excelがあれば実践できる。Excslの「共有」機能やOffice365「共同編集」機能を活用して理科の実験データを共有している。

物理的な制約を乗り越える活用

中学1年「いろいろな力」では、ばねの重りを1個ずつ増やしていき、ばねの伸びと重りにかかる力の関係を調べる。1クラスを8班編成で4種のばねを使用。同じばねを使用した班と、1つのExcelファイルに実験データを入力して互いに情報を共有し散布図を作成する。

実験後はメンバーの入れ替えを行い、作成した散布図を持ち寄って、1つの班に4種類のばねのグラフが集まるように再編成した。違うばねを使用した班とグラフを比較し、結果からわかることをまとめた。たくさんのデータを集めて、点を線にすることこそが科学的であると考えている。

パルミチン酸の温度を測定する実験では、時間を図りながら温度を測るという2つの作業を同時に進める必要がある。そこでプログラミング教育用小型PC「micro:bit」を使って5秒ごとに温度を測定し、PCに結果を送った。

デジタル測定の強みは、測定時間の間隔を狭くできること。教科書の実験と比べて5~6倍のデータが取れる。測定化数が多いほど客観性が増し、科学的になる。

こうしたばねの実験や温度測定の実験をアナログで行うと、50分の授業では終わらない。ICTを活用することで、それまで不可能だった実験を可能とし、時間的制約を乗り越えることができる。

距離的な制約を乗り越える

デジタル百葉箱(IoTツールGravio)を活用している。デジタル百葉箱の利点は、気温、湿度、気圧の大量データを瞬時にサーバーへ送信するところにある。温度センサーと気圧センサーを学校のいたる所に設置し、そのセンサーの取得値を元に、大気圧についての学びを深める。

圧力について学んだ後、分銅を使って1hpaを体験。空気にも重さがあるが、空気の圧力はフロアごとに違うのかを調べた。

校内に設置したセンサーにより、距離的な制約を乗り越えて、教室にいながら3日分のデータ値をサーバー経由で、タブレットPC上で確認できた。データ値を見るだけでは変化が捉えにくいため、Power BIを用いて、リアルタイムでグラフ化した。このようなデジタルセンサーを活用した実験は授業中に校舎内を移動することなく、リアルタイムデータが大量に手に入る。この実験をアナログで行おうとすると、移動に時間がかかり、客観性を保つ量のデータを集めることができない。ICTを活用することで、アナログでは大変な観察・実験が簡単に行える。

遠隔授業も距離的な制約を乗り越える事例だ。科学館や大学の研究室と連携してプロフェッショナルから学んでいる。【講師】江南市立西部中学校 教諭 岩田智文氏

【第65回教育委員会対象セミナー・名古屋:2020年2月13日】

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2020年3月2日号掲載

  1. 岡崎市教育委員会総務課学校情報係係長 川本祐二氏
  2. 静岡大学教授 柗元新一郎氏
  3. 相模原市教育センター指導主事 渡邊茂一氏
  4. 江南市立西部中学校 教諭 岩田智文氏


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