8月22日、広島県福山市内で第51回教育委員会対象セミナーを開催。夏休み後半ということもあり、西日本豪雨の影響で交通網が一部麻痺しているにもかかわらず小学校教員を中心に約100名の参加者があった。
福山市教育委員会では平成28年1月、「福山100NEN教育」を策定して取り組んでいる。昨年度、福山市教育委員会から「チーム学校(ICT)」の指定を受けた福山市立日吉台小学校の小林教諭が報告した。
広島県が全県の5年生を対象に、昨年6月に実施した「基礎・基本」定着状況調査の結果から、培遠中学校区では「学習規律の徹底」「ICTを活用した授業づくり」などに着手。培遠中学校校区で学習規律について協議。挨拶・返事の徹底・姿勢・チャイム等の時間意識・机・ロッカー等の整頓に取り組んだ。姿勢の掲示を作成して校区の全教室に掲示。教科書、ノート、鉛筆、消しゴム、定規などの机上の定位置も決めた。
平成27年度より段階的に全ての普通教室に教材提示装置・大型提示装置を、PTAの協力等をも得ながら整備。企業の協力によりタブレットPCを50台、DS80台、プログラミング用ロボット10台の貸与も受け、夏休みに教員研修を実施。5年生社会科「さまざまな土地の暮らし」では、実物投影機で2つの地図を大きく映して地形を比較。「小さなものが大きく映せる」だけで大きな成果があることを実感し、活用が広がった。
児童生徒によるICT活用では、調べ学習、考えてまとめる、わかりやすく発表する、繰り返し学習や個別学習を行うなどに取り組んでいる。3年生体育科の跳び箱の授業では、自分が跳んでいる姿をタブレットに写し、友だちと跳び方のコツを共有している。
これらのICT活用の視点を1つの表にまとめ、チェックリストを作成。全ての指導案に添付し、ICTの活用の目的や場面を明確化した。
タイピング能力の向上にも着手。3年生以上の国語科や総合的な学習の時間で取り組むほか、教室の児童用PCも開放。タイピング能力が向上した児童を朝会で表彰している。
プログラミング教育については平成28年度より4年生の総合的な学習の時間で「Scratch」や「RoBoHoN」を活用する単元を設定。新学習指導要領で例示されている「多角形のプログラミング」にも取り組んだ。
情報モラル教育は全学年で各学期に1回、時間を設定。毎年9月の参観日では、全学年が情報モラルの授業を保護者に公開している。
思考用語・思考ツールについてはどの教科領域でも、比較したり関連づけたりする思考場面で、積極的に活用。
効果的なペア学習・グループ学習のため、話し合いの型を発達段階ごとに作成し、全校で取り組んでいる。
帯学習で集中力高める
毎朝15分間、音読・計算・フラッシュカードに取り組むことで集中力の向上を図っている。固定化することで、集中力を持続したまま1時間目の授業を受けることができ、児童の学びの質が高まった。
教師アンケートから、この1年間で、「児童同士のやりとりの活性化」は40・4ポイント、「教師と児童のやりとりの活性化」は17・6ポイント伸びている。
【講師】福山市立日吉台小学校・小林裕子氏
【第51回教育委員会対象セミナー・福山:2018年8月22日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2018年10月1日号掲載