8月22日、広島県福山市内で第51回教育委員会対象セミナーを開催。夏休み後半ということもあり、西日本豪雨の影響で交通網が一部麻痺しているにもかかわらず小学校教員を中心に約100名の参加者があった。
滋賀県湖南市教育委員会は、平成29年度文部科学省「学校現場における業務改善加速事業」モデル市として、校務支援システムによる出退勤時間の管理、事務の共同実施、学校支援員の配備、ワーク・ライフ・バランス研修などに取り組んでいる。長谷川氏は本取組について報告した。
湖南市教育委員会では、教員の「働き方」意識の改善に向けて、出退勤時間を校務支援システム上で記録・管理できるようにした。教員自身で超過勤務時間をワンクリックで一覧してセルフチェックでき、かつ管理職も確認できる。超過勤務が半月で40時間以上、月80時間以上の教職員に関しては助言することとしている。本仕組みは次年度から、出勤簿と連動できるように「クリック=出勤」となるようする。将来的には年休簿や出張記録とも連動できるようにしたいと考えている。
事務の見直しについても推進。市教委と学校間のメールのやりとりを定型化して提出が必要なものにマークを付与。ひと目でわかるようにした。
新入生情報や卒業証書授与録は市教委から電子データを各校に提供。学校での入力を不要とした。学校徴収金については「Bizダイレクト」を導入して学校処理を軽減。市バス申請など紙ベースで行っていた申請類も簡略化した。
学校支援員も配置。校内を巡回して見守りをサポートするほか、印刷業務やテストの採点、文書配布、備品管理などを行っている。
専門家によるワーク・ライフ・バランス研修は職種別に実施。数回の実施だが、意識が変わったという声が届いており、大変良かった。地域の保護者に対する研修では、教員の働き方改革の取組についての理解を求めた。管理職研修も実施。管理職の意識改革は大変重要だ。
業務改善推進委員会を設置して全教職員に対してアンケートも実施。実態と成果を明確にする。
平成29年11月に実施したアンケートによると、学校支援員の配置について小学校で80%、中学校で56%の教職員が「負担が軽減した」と成果を感じており、即効性のある取組であったといえる。「事務支援」ではなく「児童生徒支援」をメインに依頼している学校では、問題行動の未然防止などにつながったという報告を得た。
超過勤務は減少傾向に
出退勤システムについては、4月当初に比べて特に小学校において、超過勤務の減少傾向が見られた。
中学校ではセルフコントロール(意識改革)のほかに部活動改革や行事精選などの改善の必要性があると考え、部活動の朝練習を中止。今後も成果を見ながら進めていく。
【講師】湖南市教育委員会指導主事 長谷川洋介氏
【第51回教育委員会対象セミナー・福山:2018年8月22日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2018年10月1日号掲載