JAPET&CEC国内調査部会は隔年で「教育用コンピュータ等に関するアンケート調査」を行っている。本フォーラムでは、その特徴的な部分について中間報告を行った。
「セキュリティを確保して自宅や出張先で校務処理を可能とすべき」と考えている教員は、小学校で約8割、中学校で約7割と多い。
同様の質問を先進地域と一般地域と比較すると、先進地域では83・8%が、一般地域では76・2%が「そう思う」と回答。安全を確保したうえで校務処理を学校外で行いたいと考えている教員が多く、ICTを日常的に活用しているほどそのニーズが高まるようだ。
今後「普通教室の設備を重視する」と回答する政令市は67・6%。市町村と比較して多い。
教員用にタブレット型PCを整備している政令市は5割以上だが、そのうちの半数以上が教員に対して4割以下の整備台数。4割以上整備しているのは、最も多い政令市でも21・6%。
児童生徒用タブレット型PCについて、グループ学習に必要な台数以上を整備しているのは、政令市等及び町・村で5割以上。ただし「3クラスにつき1クラス分」以上の配備をしているのは町・村が最も高く、15・4%である。
「3クラスにつき1クラス分」以上の配備が新学習指導要領で求められる教育環境であることを考えると、各自治体の今年度以降の整備計画が注目される。
既にタブレット型PCを整備している自治体を対象に、ほぼ同時に導入したものについて聞いた。
政令市等では、授業支援システム70・3%、協働学習支援システム56・8%、環境復元ソフト56・8%がベスト3。以下、無線画面提示システム、指導者用デジタル教科書・教材と続く。市では、授業支援システム、指導者用デジタル教科書教材、環境復元ソフトがベスト3。町・村では「なし」39・7%がトップである。
さらに学校に対して、前記項目について「活用しているもの」を聞いた。
小中学校共に最も活用しているのが授業支援システムで、いずれも約5割が活用していると回答。
小学校ではこれに次いで、指導者用デジタル教科書・教材、ドリル型デジタル教材、学習者用デジタル教科書・教材が活用されている。
中学校では、指導者用デジタル教科書、無線画面提示システム、学習者用デジタル教科書・教材が続く。
同様の質問を先進地域でも質問。
先進地域では、授業支援システム及びドリル型教材が6割以上活用。協働学習システムは56・8%、指導者用デジタル教科書・教材は47・7%活用している。
児童生徒用端末の導入数が増え活用が進むと、活用されるシステム・ソフトウェアが変わるようだ。
また、先進地域においては活用率が減る指導者用デジタル教科書であるが、9割以上の教員が「指導者用デジタル教科書の整備を進めるべきである」と考えており、一般地域でも9割弱がそのように考えている。
指導者用デジタル教科書は、政令市等の小学校では8割以上が、市では6割以上が導入している。
では、各校の普通教室で実際に活用されているものは何か。
8割の小学校が「実物投影機の画像」であると回答。次いで多いのが指導者用デジタル教科書(66・4%)、写真や映像を表示するソフトウエア(61・1%)。
中学校でも同様の傾向だが、実物投影機が6割強と小学校よりも割合が減り、写真・映像提示用ソフトやプレゼンツールの活用が増える。
同様の質問を先進地域でも聞いたところ、「実物投影機の画像」「指導者用デジタル教科書の提示」がいずれも8割を超え、「写真や映像を表示するソフトウエア」「プレゼンツール」は7割を超えた。学習者用デジタル教科書・教材は4割、プログラミング学習用コンテンツは2割が活用していると回答。整備が進めば活用も進む、ということがここでも明らかになった。
教育委員会と首長部局情報政策部門との連携を強めるべきである、と考えているのは、政令市等では100%。市及び町村でも9割を超えている。特に政令市等では「強くそう思う」が5割を超えている。
政令市等では7割以上が、市では4割以上が小中学校で同じ統合型校務支援システムを整備している。一方、町・村では4割が「導入予定がない」と回答。
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本調査報告は6月に冊子としてまとめられ、全国の教育委員会に配布される予定。次回調査は来年実施される予定だ。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2018年4月2日号掲載