2月2日、福岡市のパピヨン24ガスホールで第46回教育委員会対象セミナーが開催された。また2月15日、名古屋市の名古屋国際センターで第47回教育委員会対象セミナーが開催された。各講演の内容を紹介する。次回の第48回教育委員会対象セミナーは、3月24日に金沢市の金沢商工会議所で開催される。
武雄市教育委員会(分校3校を含む小学校11校、児童2818名、中学校5校、生徒1255名)の諸岡氏は、市のタブレット端末を活用した取組を紹介した。
ICT教育実現に向けた環境整備としては、全普通教室に電子黒板を設置し、全小学校・中学校の児童生徒1人1台分のタブレットPCを整備した。また全校に1人ずつICT支援員を配置。授業の導入・展開・まとめの場面で活用し、主体的・協働的な授業で理解を深める指導を行っている。
続いて諸岡氏はスマイル学習とプログラミング教育について説明した。
スマイル学習は武雄式反転授業である。教員が児童生徒の実態をより正確に把握して授業に臨み、児童生徒がより意欲的に授業で協働的な問題解決能力を育成することを目的にしている。
子供は授業前日に自宅に予習動画の入ったタブレットPCを持ち帰り、家庭で予習動画を見るなどして知識の定着を図る。当日学校に行き、小テストとアンケートを送信。教員はその結果を確認してつまずきを把握し、授業を組み立てて進める。授業では最初に予習内容を確認し、学び合い・発展の時間を多く取り、協働的な学習に取り組んだり、発展的な学習を進めたりする。
現在、小学校の3年生以上の算数、4年生以上の理科、2~4年生の国語、中学校の全学年の数学と理科で実施。小学校の算数と理科の授業のスマイル学習対象率は約20%。
アンケートの結果を見ると、92%が動画の内容を「よく分かった」「だいたい分かった」と答え、87%が明日の授業を「とても楽しみ」「少し楽しみ」、また96%が、授業内容を「よく分かった」「だいたい分かった」と答えるなど、子供たちは高く評価している。
デジタル教科書の実証研究を昨年10月から3月まで産学官の連携で実施している。小学校4年生と中学校1年生全員が対象で、教科は国語と算数・数学。
研究の目的は、児童生徒の学習時間の量と学びの質を向上させ、より意欲的に授業に臨める態度を育成すること、教員が実態を正確に把握して授業に臨める体制をつくること、協働的な問題解決の能力を育成することの3つ。
小学校1~3年生を対象としたプログラミング教育は企業と連携して進めている。小学校1校を実証校に指定し、1年生は年8回、2・3年生は年13回授業を実施。ICT機器を扱い楽しく授業を受けられ、ものづくりの楽しさや達成感が育まれ、目的の力が身に付くように進められている。
加えて平成29年度からは、ソフトバンクの「Pepper社会貢献プログラム」にも参加。全小中学校にPepper105台が導入され、小学校4年生以上で活用されている。
ICT教育を進める中で、課題を整理しながら継続した取組を推進したいと考えている。
【講師】佐賀県武雄市学校教育課新たな学校づくり推進室・諸岡利幸室長
【第46回教育委員会対象セミナー・福岡:2018年2月2日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2018年3月5日号掲載