教育委員会対象セミナー・佐賀 ICT機器の整備計画/校務の情報化

8月25日、佐賀市文化会館で第33回教育委員会対象セミナーを開催した。佐賀県での開催は初めてであったが、当日は九州地区の教育関係者が参集した。次回の教育委員会対象セミナーは、10月28日に大阪・新梅田研修センターLホールで開催する。(www.kknews.co.jp)へ

ICT利活用教育を学校経営案に組み入れ 佐賀市立西与賀小学校・今泉弘校長

ICT機器活用の継続・充実こそ校長の使命

佐賀市立西与賀小学校今泉弘校長
佐賀市立西与賀小学校
今泉弘校長

佐賀市立西与賀小学校の今泉弘校長は、学校全体がICTにより変わり、児童の学びの姿、指導する教師の意識の変化が生まれた授業の工夫について報告した。

同校は平成22年度からフューチャースクール、23年度から学びのイノベーション事業指定校、25年度から佐賀市教育委員会指定研究委嘱校として取組を行ってきた。現在教室には50インチプラズマ型の電子黒板、インクジェットプリンター、児童1人1台のタブレットPC、PC充電保管庫を設置。理科室、学習室、体育館、職員室などでもICTを活用できる環境を整えている。学習履歴が教師から確認ができるデジタルドリルシステム、提示用デジタル教科書、学習者用デジタル教材も順次導入。機器だけではなく、ソフトウェアや教材が整うことでICTを日常的に活用でき、指導法を改善できることを実感した。

毎年、職員の異動等がある中、これまで、同校で積み上げてきた研究を継承・発展させ、ICT機器の活用を継続・充実していくことが、校長の大きな使命であり、課題であると今泉校長は考える。そこで、学校経営案にICT利活用教育を1つの柱として位置付け、人材育成、外部講師の招聘、授業実践を通し、校内研究の充実を図る。

問題把握にICTが有効

今年度からは「〜さぐる過程で思考力を育む学習活動のあり方〜」という研究主題で校内研究に取り組んでいる。

授業デザインでは、つかむ・見通す・さぐる・まとめるという4つの指導過程で学習を進め、特にさぐる過程を重視。さぐる過程では、まず一人ひとりが自力解決に取り組み、小集団での話し合いの時間、学級全体での話し合い活動へとつなげていく。そのためには、授業のつかむ・見通す過程でしっかりと問題把握、見通しを持たせることが重要。シミュレーション教材やICT機器の活用が有効であると考え、授業づくりに取り組んでいる。まとめる過程ではOneNoteを利用。デジタルノートには、めあて、まとめと振り返りを記入する。授業中に発表した児童のデジタルワークシートをクラス全員のタブレットに配布。児童は、友達のデジタルワークシートも貼り付けさまざまな考え方をまとめたノートに仕上げる。

ICT活用による児童の変化は、落ち着いた学習、説明的発言の増加、学力向上。教師の変化は、指導力の向上、教材作成と時間の短縮だ。課題は、1人1台の教育環境整備のための、ネットワークやPC等を管理する人的サポート、機器の修繕や保守管理、ソフトウエアのライセンスなど教育環境の維持。子供が苦手にしている単元でのデジタル教科書の開発も待たれる。

最後に今泉校長は、「学校が目指すものは、児童の基礎的な学力の定着、生涯にわたって学び続ける学習の基礎、そして、集団の中でのコミュニケーション力の育成。だから、ICTを使わなくても指導できる指導力、教材分析力の2つの力をもった教師が、ICTを道具として活用することで、子供たちの学びは深まり、分かる喜び、学習の楽しさが実感できる本当の授業となる」と話した。

 

【講師】佐賀市立西与賀小学校・今泉弘校長

 

【2016年10月3日】

1、武雄市教育委員会・小柳真一係長2、多久市教育委員会・南里豊課長
3、小城市教育委員会・挽地貞仁主査4、武雄市立武内小学校・竹内智道校
5、佐賀市立西与賀小学校・今泉弘校長

 

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