教育委員会対象セミナー・佐賀 ICT機器の整備計画/校務の情報化
8月25日、佐賀市文化会館で第33回教育委員会対象セミナーを開催した。佐賀県での開催は初めてであったが、当日は九州地区の教育関係者が参集した。次回の教育委員会対象セミナーは、10月28日に大阪・新梅田研修センターLホールで開催する。(www.kknews.co.jp)へ
多久市教育委員会 南里豊課長 |
多久市では平成20年度にPC室更新と校務用PCの配備、校内LAN整備、平成21年度に電子黒板を全教室に整備してICT支援員とデジタル教科書も配備。活用は進んだものの、その後、更新がままならず、電子黒板は6年以上経過。校務用、教室用PCそれぞれに整備が必要な状況であるという。担当として、ICT環境整備についての理解を財政に得るために予算要求・説明を継続中だ。
学習成果やつまずきを可視化
平成25年度に市内の小中学校(小学校7校、中学校3校)を小中一貫校3校として再編。校舎の改修や建て替えの影響もあり、ICT整備の予算獲得が難しい中、1人1台のタブレットを活用した実証研究に着手した。協力は、ダイワボウ情報システム、シャープ、日本標準、日本マイクロソフト、日本ヒューレット・パッカード、ソフトバンク コーマス&サービスなど。
実証研究(平成26年11月〜12月)は、小中一貫校3校の5年生児童を対象に行った。最低限必要なICT機器として1人1台のタブレット端末、ノートPCサーバ、無線LAN環境を整備。朝学習やHRの時間を利用したドリル学習(1回10分程度)に取り組んだ。端末内のソフトで学習し、採点も自動で行うため、教員の負担軽減や指導効率の向上に繋がる。学習結果はサーバ上で一括管理し、1人ひとりの学習成果や、つまずきを可視化。多くの児童が間違った問題については、教員がクラス全体に解説を行った。
学力到達状況分析テストでは、取組前後で、国語と算数の成績下位層が約3割減少。2回目の実証(平成27年9〜12月)では、成績低位層が減少し、成績中位層、成績上位層が増加した。
成果あげて予算確保へ
「予算の確保には、学力向上などのわかりやすい成果を示すことが早道。短時間のドリル学習なら、教員の負担感なく児童の集中力や達成感、成果を引き出しやすい。10分という短時間だからこそ、しっかりと集中して取り組み、学力向上に繋がった」と話す。
今年度は、デスクトップPC(特別支援学級の利用も想定)を小規模校2校には各43台、大規模校には86台、計172台の整備。電子黒板計98台の入れ替え、タブレットは各校40台、計120〜190台程度、校務用PC約180台も整備したいと考える。
ICT支援員については、タブレットの活用、ICT機器の不具合に対応する必要性を強調し、各校1人の配置を要求。「ICTの導入にあたり教員の負担は大きい。1校1人のICT支援員は欠かせない」と語る。さらに今年度からは日本MSとソフトバンクと共にクラウド活用の実証研究に取り組む考えだ。
「キーボード入力ができる環境も必要。普通教室ではタブレットPC、PC室ではデスクトップPCが必要だということを説明していく。実証研究の成果等をもとに、1人1台のタブレットの導入を目指す」と語った。
【講師】多久市教育委員会学校教育課 南里豊課長
【第32回教育委員会対象セミナー・佐賀:2016年8月25日】
【2016年10月3日】
1、武雄市教育委員会・小柳真一係長/2、多久市教育委員会・南里豊課長
3、小城市教育委員会・挽地貞仁主査/4、武雄市立武内小学校・竹内智道校
5、佐賀市立西与賀小学校・今泉弘校長
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