教育委員会対象セミナー・佐賀 ICT機器の整備計画/校務の情報化

8月25日、佐賀市文化会館で第33回教育委員会対象セミナーを開催した。佐賀県での開催は初めてであったが、当日は九州地区の教育関係者が参集した。次回の教育委員会対象セミナーは、10月28日に大阪・新梅田研修センターLホールで開催する。(www.kknews.co.jp)へ

25分の家庭学習を担保 協働的問題解決学習実現 武雄市立武内小学校・竹内智道校長

武雄式反転授業に成果 時間増狙めざす

武雄市立武内小学校 竹内智道校長
武雄市立武内小学校 竹内智道校長

佐賀県武雄市立武内小学校の竹内智道校長は、タブレットを家庭に持ち帰る、スマイル学習(武雄式反転授業)によって、授業で協働的に問題を解決する学びが実現した事例を紹介した。

学習塾のノウハウを公立学校の授業に融合

武内小学校は、現在児童数129名、6学年6学級の官民一体型学校。これは、学習塾・花まる学習会のノウハウや活力を公立学校に融合させ、子供の生き抜く力を育む教育を行うことを目的とした学校である。
官民一体型学校の特徴のひとつが、タブレットを使ったスマイル学習だ。スマイル学習では、授業日前日に児童はタブレットに動画コンテンツとアンケート・小テストをダウンロードして帰宅。家庭で児童は動画を見ながら紙のワークシートを記入し、タブレットの小テストとアンケートに取り組む。時間はおおよそ10分から25分。翌日、登校した児童は小テストとアンケートを提出、教員は子供が提出した小テストの結果を確認して理解度を確認した上で、次のステップに進む、動画を再度見せるなど授業の進め方を決める。

スマイル学習の目的は3つ。家庭で、意欲的にマイペースで学習することで、学習者が意欲的に授業に臨める。学習者の実態を正確に把握して授業に臨むことで、より個に寄り添った教育が行える。学習者は知識をある程度持って授業に臨むので、協働的な問題解決に時間をとることができる。

予習してきたことで分かったことや思ったことなどを意見交換する友達タイムと呼ばれているグループ学習の時間を設定したことで、児童の理解が深まりスマイル学習の効果が上がると感じる。

教員も動画作成を開始

児童が家庭学習で使う動画教材は、算数は3年生から6年生、理科は4年生から6年生の全授業時数の20%程度の数が用意されている。国語はまだ5%にとどまる。基本的に動画教材の作成は、学校からの依頼に沿ったものを外部の業者が制作。加えて、昨年から教員がパワーポイントを使って独自教材の作成を始めた。国語のインタビューの授業では、ビデオ動画を活用した教材も作成した。

スマイル学習は、教師が翌日の授業で協働的学習がやりやすいと思う授業で実施している。1学期のスマイル学習実施回数(7月末時点)を27年度と28年度では、4年生は20回から21回へ、5年生は11回から15回へ、6年生は5回から12回へと増加した。

武雄市のスマイル学習に取り組んでいるすべての児童を対象としたアンケートでは、動画教材の内容については約90%の児童が「よくわかった」「だいたいわかった」と回答している。武内小の児童の感想にも「僕は動画を3回繰り返して見たらわかった」、というものがあった。従来の教室の授業では、同様には行かない。

ビデオ学習の有効性を示す感想だ。 実施率100%目指す

児童は理解しやすいと感じているので、スマイル学習の時間数を増やしたい。そのためには、動画を児童のタブレットにより簡単にダウンロードするための工夫が必要。単元毎に整理して教育委員会のサーバーから学校のサーバーに移す、児童のタブレットに単元毎の教材をダウンロードしておく、などが考えられる。

最終的には、スマイル学習の実施率100%を目指す。

【講師】武雄市立武内小学校 竹内智道校長

 

【第32回教育委員会対象セミナー・佐賀:2016年8月25日

【2016年10月3日】

1、武雄市教育委員会・小柳真一係長2、多久市教育委員会・南里豊課長
3、小城市教育委員会・挽地貞仁主査4、武雄市立武内小学校・竹内智道校
5、佐賀市立西与賀小学校・今泉弘校長

 

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