教育委員会対象セミナー・佐賀 ICT機器の整備計画／校務の情報化
８月25日、佐賀市文化会館で第33回教育委員会対象セミナーを開催した。佐賀県での開催は初めてであったが、当日は九州地区の教育関係者が参集した。次回の教育委員会対象セミナーは、10月28日に大阪・新梅田研修センターＬホールで開催する。（ｗｗｗ．ｋｋｎｅｗｓ．ｃｏ．ｊｐ）へ
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| 武雄市教育委員会 小柳真一係長 |
小学校11校（うち分校３）、中学校５校（計16校・児童数２８２４名・生徒数１３０５名）の武雄市では、小学校では１学年１クラスの学校が多く、１学年３クラスが最大規模だ。教育委員会の小柳係長は、市のＩＣＴ教育の取組について「武雄市イコールタブレットのみではない」と語る。
１人１台のタブレット整備に注目が集まるが、それ以前から注力していたのが電子黒板の整備だ。現在、普通教室の整備率は１０５％。小学校１３３台、中学校61台を整備しており、デジタル教科書とともに活用されている。
最先端の学校環境目指す
当時の市長方針で、圧倒的な子育て環境を目標に整備に着手。最も力を入れているのが最先端の学校環境で、ｉＰａｄの１人１台活用を山内東小と武内小の４年生以上で検証し、タブレットの効果のみとはいえないが、学力学習状況調査の結果も伸びた。タブレット端末は様々なことができる。武雄市でも動画視聴、電子黒板との連携、カメラ機能の活用など様々な活用を行っている。タブレット端末の整備にあたり、松原聡東洋大学副学長を座長とする武雄市ＩＣＴ教育推進協議会に１人１台のタブレット端末の必要性やその端末に必要な機能を諮問。それに対応したタブレット整備として平成26・27年度に小学校に７のＡｎｄｒｏｉｄ端末計３１５３台、中学校は10１５５０台を整備した。現在小学校の運用は３年目を迎え、全校に各１人のＩＣＴ推進員も市予算で配備している。
１人１台の端末整備とほぼ同時期にスマイル学習課を設立して学校教育課の指導主事と連携。情報化社会に対応できる力を育むため、ＩＣＴ活用や学習塾との連携に取り組んでいる。九州で初の「こどもの貧困対策課」も設置。昨年10月には教育大綱を策定した。
武雄式反転授業「スマイル学習」は、タブレットに入れた動画で予習を行い授業に臨むというもの。現在は小学校３年生以上の理科、４年生以上の算数、２年生～４年生の国語で実施。中学校では全学年の数学と理科で実施。授業前に動画を見て予習、テストをすることで、児童のつまずきを教員が事前に把握し、多くの児童が誤りやすい箇所に重点的に取り組むようにしている。正解を選んだ子供に意見を求め、子供のやりとりに加わり間違った理由を明らかにするなど、授業の組み立てを考えることができる。
スマイル学習のための動画をダウンロードする際には、順番に班や列ごとに行いアクセスが集中しすぎないようにするなどの運用でトラブルを回避した。「７の大きさは小学生が自宅に持ち帰りしやすい」と語る。
電子黒板と連携できるように授業支援システムも導入。発表や協働学習で活用しており、年々活用が増えている。
「導入初年度は運用や活用に試行錯誤していたが、実践を積むことで様々な活用アイデアがでてきた」と語る。
スーパー食育スクールでは、タニタと連携して食育の授業を実施。子供たちに歩数計を持たせ、学校に毎朝提出。タブレットに食事内容を入力して定期的に身長体重測定を行い、その相関を調べており、地域全体の食育に対する意識も高まった。オンラインでフィリピンの講師とつないだ英会話学習や学習塾と連携した「はなまるタイム」でも端末を活用しており、プログラミング教育は企業の協力により専用アプリも開発。プログラミング教育開始から３年目を迎える山内西小学校では、１年生８時間、２年生12時間、３年生12時間のカリキュラムで取り組み、最後には作品の発表会を行う。
現在、小学校のタブレット更新の準備をしており、10のＷｉｎｄｏｗｓタブレットの導入がすべての小学校で９月から開始。教員研修も展開中だ。ネット上の動画も自由に活用できるように、無線ＬＡＮ整備の準備も開始。体育館を含めて全教室に整備を予定している。「授業を楽しく、児童生徒が成長するためのツールとして活用実績を積むことで、新たなステージに進んでいく予算を確保できた」と語った。
【講師】武雄市教育委員会スマイル学習課ＩＣＴ教育係 小柳真一係長
【第32回教育委員会対象セミナー・佐賀：2016年8月2５日】
【2016年10月3日】
1、武雄市教育委員会・小柳真一係長／2、多久市教育委員会・南里豊課長
3、小城市教育委員会・挽地貞仁主査／4、武雄市立武内小学校・竹内智道校
5、佐賀市立西与賀小学校・今泉弘校長
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