教育委員会対象セミナー・佐賀 ICT機器の整備計画/校務の情報化

8月25日、佐賀市文化会館で第33回教育委員会対象セミナーを開催した。佐賀県での開催は初めてであったが、当日は九州地区の教育関係者が参集した。次回の教育委員会対象セミナーは、10月28日に大阪・新梅田研修センターLホールで開催する。(www.kknews.co.jp)へ

学齢簿と連携して学籍処理を自動化 小城市教育委員会・挽地貞仁主査

教委の最大の役割は学校環境整備

小城市教育委員会・挽地貞仁主査
小城市教育委員会
挽地貞仁主査

約10年前に合併した小城市は現在、小学校8校(職員192名)、中学校4校(職員110名)。挽地主査は「教育の情報化において教育委員会の最大の役割は環境整備。校務支援システムを利用する際に最も重要なのが学籍に関するシステム」と語る。

教育情報化推進協議会で「教育情報化計画」を策定

平成23年に文部科学省が策定した「教育の情報化ビジョン」を受けて同年、小城市教育情報化推進協議会を発足。平成24年3月に「教育情報化計画」を策定した。

協議会には、各校から教頭や情報担当、校長会の代表が参加。委員長は教育長、副委員長は教育部長が務め、年3回程度実施して小城市の「総合計画」を立案している。

計画は授業の情報化と校務の情報化の2本柱で推進。情報化に対応した学校施設やネットワーク環境の充実とその効果測定と、校務支援システムとグループウェアの導入、情報発信を計画に盛り込んでいる。

小城市では、独自のイントラや小中学校のネットワークの再構築・再整備からスタート。市のインフラは、独自光回線と商用の光回線を組み合わせて活用している。

校務用データはデータセンターを活用。セキュリティ対策も盛り込んだ。

校務支援システムについては、出席簿や通知表、時数管理などを導入。卒業証書の作成や保健管理、年間行事の管理もシステムで行っている。

1人1本の認証用USBを配備して、USBキーと暗証番号でログインする仕組みで、小城市の総合行政システムの学齢簿とも連携。これにより転出入管理や年度処理も学籍管理でできるようになり、学校で学籍処理が不要になった。

出席簿には、毎日の欠席遅刻早退とその理由を反映。長期欠席の対応もシステム内で管理できる。出席簿データは通知表や指導要録と連携。それぞれ原本はPDFにしてサーバ内に保管。通知表のレイアウトは小学校と中学校でそれぞれ統一。表紙は各校が独自のものを作成している。

保健管理は、各種検診結果を入力して保護者に通知する機能だ。健康診断表は原本をPDFで保管し、校医の押印は省略できる。

グループウェアは、県費、市費いずれの教職員もユーザ登録して、メールや掲示板、回覧板、アンケート機能などを活用できる。校納金システムは、児童生徒の校納金台帳とシステムを連動。収支計画や決算書作成、口座振替などもシステム内で行う。

学校情報メールは、市内全教員と小中学校児童生徒が活用。児童生徒1人あたりメールアドレスを2件登録できる。地域関係者の登録も可能で緊急情報の配信も可能だ。

多くの機能を円滑に活用するポイントについて、挽地氏は「システムの機能を1つひとつ説明しながら段階を追って運用し、転校処理もデータ連携することを念頭において整備を進めた。ここまで、約3年間かかった」と語る。

98%が有効性実感

「ICT支援員能力認定者」などの有資格者を中心にICT支援員を3名、年間を通して委託により配備。1人につき3〜4校担当として配置計画を立てているが、研修スタイルでの説明など学校要望に合わせた対応も実施。運用して改善されたことを実感できるように意見交換も行っている。予算は月に100万円程度。支援員の活躍は欠かすことができないと語る。

市教委主催のシステム研修も毎年度4月に実施。校長教頭対象にシステムの説明、教務主任対象に学級編制方法の説明、事務職員対象に校納金の説明、養護教諭対象に健康診断票の説明などだ。

本システム導入については98%の教職員が有効であると回答しており、毎日使うことでスムーズに活用できるというのが統一した見解だ。

現在、平成29年度からの教育情報化計画の策定に着手。校務用PCや電子黒板の更新に加えてセキュリティや防災強化の観点を盛り込む。

文科省委託事業「ICTを効果的に活用する授業のモデルカリキュラムづくり」に平成27・28年度で取り組んでおり、今年度末に成果を報告する。

【講師】小城市教育委員会教育総務課学事係 挽地貞仁主査

 

【第32回教育委員会対象セミナー・佐賀:2016年8月25日

【2016年10月3日】

1、武雄市教育委員会・小柳真一係長2、多久市教育委員会・南里豊課長
3、小城市教育委員会・挽地貞仁主査4、武雄市立武内小学校・竹内智道校
5、佐賀市立西与賀小学校・今泉弘校長

 

<<ひとつ前にもどる

関連記事

↑pagetop