教育委員会対象セミナー・名古屋 ICT機器の整備計画/校務の情報化
教育委員会や学校の整備担当者を対象に実施している「教育委員会対象セミナー〜ICT機器の整備と活用・研修」が、1月29日福岡で、2月16日に名古屋で開催された。次回は3月31日に岡山で開催される。
詳細=www.kknews.co.jp/semireport
いなべ市教育委員会 教育研究所研修主事 安藤正一郎氏 |
三重県いなべ市では、子供と向き合う時間の創出に向けて平成27年度から校務支援システムの本格稼働を開始した。現在市内小学校15校・中学校4校で出席簿や通知表、指導要録などをデジタルで作成・管理している。
平成20年度までは指導要録などを紙媒体で作成、通知表や出席簿はPCに詳しい教員がExcelで作成していたが、校務用PCの不足やデータの保存方法などに課題があった。
その後、平成21年度からのスクールニューディール構想によりシンクライアントシステムによる校務用PCを1人1台導入。
指紋認証でログインして自分のデスクトップ画面を呼び出すことができるようになり、データを持ち運ぶことなく学校や自宅でも校務が行えるようになった。
平成23年度には小学校の指導要録、翌24年度には中学校の指導要録をExcelで電子化。しかし担当者頼みのシステムで異動の影響が懸念された。
そこで「子供と向き合う時間の創出」「教育情報の共有財産化」「どの学校でも同じ仕組みで仕事ができる環境整備」「情報セキュリティの向上」の4点の達成を目標に、平成25年度から校務支援システムの導入を検討。学校長や教員、教育委員会、行政からなる校務情報化部会を立ち上げ、導入に向けて動き出した。
平成26年8月には業者と導入するシステムを決定し、全職員を対象とした導入研修会も行われた。校務支援システムとは何かから始まり、導入にあたってのスタンスや導入スケジュールを説明。操作体験研修も行った。
システムの仮運用は平成26年12月から。トップページを立ち上げ、連絡掲示板、個人連絡、書庫、予定表などの機能を学校で使い始めた。本稼働は平成27年4月で、段階的な導入により教員の負担を最小限になるよう配慮した。まずは出席簿や通知表、指導要録などの運用を開始し、学校日誌や出張機能の活用は平成28年度から予定している。
校務支援システムの導入にあわせてルールも変更した。紙の指導要録の場合、訂正箇所を二重線で消し訂正印を押して修正箇所が分かるようにするが、デジタルの場合は、古いデータを保存してから修正した最新データを使用するなど、システム運用に向けたルールづくりを行った。導入1年目のシステムへのアクセス数は、通知表を作成する7月と12月に多い。一方、ヘルプデスクへの問い合わせは導入直後の4月と最初の通知表作成にあたる7月に集中している。2回目の通知表作成時の12月は問い合わせが少なかったことから、教員が新しいシステムに慣れてきたことがうかがえる。
導入半年後の教員へのアンケートでは「出席簿のシステム化が進んで便利になった」「セキュリティ面からも安心して使える」などの回答があり、それまで抱えていた課題や不安の解消につながった。今後は校務支援システムの効果を数値化するとともに、よりシステムを浸透させるため運用・保存の方法を検討し、サポート体制の充実を図りたいと述べた。【講師】いなべ市教育委員会 教育研究所研修主事・安藤正一郎氏
【第29回教育委員会対象セミナー・名古屋:2016年2月16日】
【2016年3月7日】
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