教育委員会対象セミナー・京都 ICT機器の整備計画/校務の情報化
教育委員会や学校の整備担当者を対象にした教育委員会対象セミナーが8月7日、京都市内で開催された。主催は教育家庭新聞社。今回で第25回、今年度2回目となる本セミナーは、総合教育会議の影響か、首都圏を中心に全国の教育委員会からこれまで以上に多彩な部署の参加があった。10月は大阪、12月は東京で開催する。詳細日程は教育家庭新聞Webへ。
詳細=www.kknews.co.jp/semireport
京田辺市立田辺中学校 不破亨教頭 |
昨年度まで教育委員会に所属していた不破亨教頭は、京田辺市のICT環境整備と今春から全校で活用している校務支援システムの導入目的と経緯を報告した。
小学校9校168学級・中学校3校57学級の京田辺市では「子供・学校応援プロジェクト」などで学校の教育実践を後押ししている。全普通教室には提示機器などを配備。今年度は全小学校・全教科にデジタル教科書を導入した。適応指導教室では、テレビ会議システムを使って適応指導教室の様子を学校へ中継。タブレット端末(iPad)を使った学習にも取り組む。
校務支援システムについては導入が遅れていた。様式は各校バラバラで個人フォルダが散逸し、データ量は増加。統一された形式と操作で校務の効率化が必要と考え、平成26年度「自律的・組織的な学校運営体制の構築に向けた調査研究」(文部科学省)の委託を受け、凸版印刷のシステムを採用。共同開発の形でカスタマイズ、導入を進めた。
年6回のプロジェクト会議でアドバイザーの助言を受け、先進地域も視察。
児童生徒基本情報をデータベース化し、教育委員会は教職員IDとパスワードを発行・設定。指紋認証を設定した。各校では教務主任がシステム管理者として管理権限を持ち、すべてのデータを閲覧・修正可、学年主任・担当は各学年の閲覧・修正可など、小中学校別に管理の権限をきめ細かく設定。小中同一システムで連携を強化した。
平成25年9月議会で予算化。平成26年4月からは全ての学校で活用をスタートしている。校務用PCを全教員に配備し、指導要録や名簿、通知表、出席簿、学校日誌、保健日誌、行事黒板などの様式を全て統一。保護者には「校務支援システムの導入により子供の成長記録を蓄積・共有を図ることできめ細かい指導の実現を目指す」とビジョンを提示して理解を得た。
全ての教員にその便利さをアピールできるように工夫。校務支援システムでは、実際の行事黒板と同じ見栄えにし、便利さを共有しやすくした。これまでのシステムと同様の使い勝手を求める教員のために、成績などの各種情報はエクセル入力もできる。通知表も、小中学校ともに2種類(回収型と学期毎配り切り型)を学校ごとに選択できる。
中学校では職員室前にある大型ディスプレイに時間割や連絡事項を表示。情報共有をしやすくした。
教職員の退勤時間も記入。退勤時間が19時以降は青、22時以降は赤で表示し、超過勤務のべ時間がすぐにわかるようにした。これによると、校務支援システム導入以前に比べて30〜40分程度短縮されていることがわかる。なお学校間のデータは閲覧不可。
出欠管理は担任が行う。入力できていない日はアラートが表示。現在、多くの担任が放課後に入力しているため、「午前中の早い段階に全校の出欠状況を把握するためには、教室ですぐに入力できる仕組み(タブレット端末の導入など)があると良い」と報告した。(講師=京田辺市立田辺中学校 不破亨教頭)
【第23回教育委員会対象セミナー・京都:2015年8月7日】
【2015年9月7日】
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