教育委員会対象セミナー・京都 ICT機器の整備計画/校務の情報化
教育委員会や学校の整備担当者を対象にした教育委員会対象セミナーが8月7日、京都市内で開催された。主催は教育家庭新聞社。今回で第25回、今年度2回目となる本セミナーは、総合教育会議の影響か、首都圏を中心に全国の教育委員会からこれまで以上に多彩な部署の参加があった。10月は大阪、12月は東京で開催する。詳細日程は教育家庭新聞Webへ。
詳細=www.kknews.co.jp/semireport
草津市教育委員会 学校政策推進課 森和昭専門員 |
草津市教育委員会の森和昭専門員は、タブレットPC約4200台の導入と学力向上に向けた取組を報告した。
平成21年度にモデル校2校に電子黒板を導入し、翌22年度には市内小中学校の全普通教室に電子黒板と校内LANを整備した草津市。児童生徒用PCが教室にあればもっと多様な学習ができる、との思いから平成25年度にタブレット端末をモデル校と特別支援学級に試験導入。その検証と市長の積極的な後押しにより、昨年度全小学校に3学級に35台の割合でタブレットPC(Windows機)を導入。加えて特別支援学級用として全小中学校にタブレット端末10台(iPad)ずつ、計約3200台を配備した。
さらに今年8月、中学校に約1000台のタブレットPCを整備。これにより、草津市の教育用コンピュータは、児童生徒3人あたり1台以上となり、国が平成29年度末の整備目標としている3・6人/台を達成した。
教育委員会事務局は「1人の百歩より、百人の一歩」を合言葉に、簡単な使い方から順次活用を進め、全教科で多様な活用が推進されるように教員に働きかけている。現在は、無線LANが整備された普通教室での調べ学習、カメラ機能を活用した映像等の確認、児童の考えを電子黒板に一斉表示しての意見比較、ペアや小グループでの意見交換や協働学習、情報モラル教育などを展開。特別支援学級では、個々の発達に応じたiPadの学習アプリが頻繁に使われている。約半年間の使用後に行ったアンケート調査では、95%以上の児童が「タブレットを使った授業はよくわかる」と回答。情報活用能力アンケートでは「プレゼンテーションソフトで写真や絵を入れたスライドができる」、「内容や組み立てに気をつけて一定時間の中で発表できる」と回答した児童がタブレットPC導入の前後で20ポイント以上増加した。
草津市は「ALLくさつ」でICT教育を進めるために今年度、これまで複数の所属にまたがっていた教育の情報化に関する事務分掌を整理し、学校ICTに関する業務をワンストップで対応する「学校政策推進課」を新設した。
平成26年度には総務省の「クラウド等の最先端情報通信技術を活用した学習・教育システムに関する実証事業」、文科省の「ICTを活用した教育の推進に資する実証事業」に参加。今年度は文部科学省の「ICTを活用した教育推進自治体応援事業」にも応募。「タブレット端末を活用した『草津型アクティブ・ラーニングカリキュラム』の作成」事業も開始した。アクティブ・ラーニングの全市展開を目指してICT活用に関する校内研究の活発化を目的に、各校のカリキュラムなどを蓄積・共有し活用する教材ポータルサイトを充実構築する予定である。
テレビ会議システムによる遠隔授業も、今年度から始める。
さらに積極的なICT機器の運用のためにICT支援員を昨年度の2名から7名に増加するとともに、タブレット活用推進リーダーを各校に1名設置。市内全教員を対象にした公開授業、推進リーダー研修会を開催している。
これらを通じて、課題となっている学校・教員間のタブレットPC使用頻度差の解消や授業力向上に取り組んでいく。(講師=草津市教育委員会事務局学校政策推進課・森和昭専門員)
【第23回教育委員会対象セミナー・京都:2015年8月7日】
【2015年9月7日】
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