教育委員会対象セミナー・京都 ICT機器の整備計画/校務の情報化
教育委員会や学校の整備担当者を対象にした教育委員会対象セミナーが8月7日、京都市内で開催された。主催は教育家庭新聞社。今回で第25回、今年度2回目となる本セミナーは、総合教育会議の影響か、首都圏を中心に全国の教育委員会からこれまで以上に多彩な部署の参加があった。10月は大阪、12月は東京で開催する。詳細日程は教育家庭新聞Webへ。
詳細=www.kknews.co.jp/semireport
京都市立錦林小学校 長野健吉教諭 |
これからの時代に求められる力「キー・コンピテンシー」「21世紀型スキル」「人間力」「社会人基礎力」を身につけるための授業手法の一つが「アクティブ・ラーニング」だ。長野教諭は、アクティブ・ラーニングの実現を阻む課題として「習得した知識・技能が活用できる場面と時間の不足」「既習事項における定着の個人差」を挙げ、その解決を図った授業実践を紹介した。
「アクティブ・ラーニング」を授業に有効に取り入れるためには「学びの連続性」をより確立して複数の既習事項を複合的に活用できる場面設定が必要であると考えた。そこでパフォーマンス評価(「パフォーマンス課題」により知識・技能をパフォーマンス(=ふるまい)へと可視化して活用できる力を解釈する評価法)を導入し、ICT(授業支援アプリ「ロイロノート・スクール」)(以下ロイロ)と組み合わせた。
まず、パフォーマンス課題=「リアルな文脈を読み、知識やスキルを総動員して解決を求める課題文」を設定。児童はその課題を解決する要素(既習事項)をアプリ上のカードに蓄積していく。その過程ではグループ学習での話し合いも加えながら発表も行う。
これを毎時間繰り返し、カードをつなげたり並べ替えたりすることで「学びの連続性」を確立し、アクティブ・ラーニングにつながる好循環が生まれるようにした。
グループ活動ではグループリーダーに皆の意見・考えを引き出す「ファシリテート」役を担わせる。話し合いの過程では子供同士でアドバイスをもらいながら考えを確立。グループ内のメンバーと相互に交流しながら、正しいか否かの考えをまとめ直すことで、話し合い活動がより活発になり、説明力も身についていく。
ワンページポートフォリオ評価
評価は「ワンページポートフォリオ法(OPPA)」を活用。これは1ページ完結型のポートフォリオだ。これにも「ロイロ」を組み合わせる。「学習前の問い」「学習中の考え」「学習後の問い」を経ていく中で、自己評価しやすくすると共に、教師はそれを指導と評価の一体化に生かす手法だ。「振り返り時、『わかりました』という感想ではなく、『何がわかったのか』を論じられるようにし、さらにはメタ認知できる仕組み」と長野教諭は説明する。それをより活性化させるためにルーブリック(評価規準)を児童と作る。「ここまで到達したらS。ここまでならA」と子供に理解しやすい言葉に置き換え、子供が具体的な目標を持ちやすいようにする。
かつて長野教諭は、これを紙べースで行っていたが「書いて終わり」になりがちで、目指す「学びの連続性」の確立が難しかった。そこに伝えるという目的をもった話がなかったからだ。そこで「ロイロ」を活用し、デジタルのOPP=ロップ(Loilo One Page Portfolio)と名づけて活用。デジタルによって思考の一連の流れがひと目で分かり、論じて話すまでの流れができた。「パフォーマンス評価を土台に、ワンページポートフォリオによるメタ認知の促進によって前時の学びが振り返りやすくなった。ICT活用で説明しやすくなり、話し合いも進む。それが個人の考えを洗練させる」と報告した。(講師=京都市立錦林小学校 長野健吉教諭)
【第23回教育委員会対象セミナー・京都:2015年8月7日】
【2015年9月7日】
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