天吊り型プロジェクター全普通教室に整備―綾瀬市教育委員会 早川知之氏

デジタル教科書の活用進む

綾瀬市教育委員会 早川知之氏 平成18年・19年度に実施された文部科学省委託事業による調査研究において、教科指導におけるICTの活用は、児童・生徒の学力向上に大きく影響を与えることがわかっている。教育研究所では、効果的なICT活用の課題を「セッティングに時間がかかる」「整備はPC室のみ」「関連機器やコンテンツの不足」として整理。これを解決すべく取り組んだ。

  「安全安心な学校づくり交付金」と「地域活性化・公共投資臨時補助金」を活用して、校内LANを整備。既に配備済の校務用PCを使って各種ファイルを共有できるようにし、普通教室でもインターネットを使うことができるようにした。

  また、「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」と「学校通信技術環境整備事業補助金」を活用して、全小・中学校の普通教室に天吊り型プロジェクターを常設。教員は、校務用PCを教室に持ち込み、LANケーブルとつなぐだけで、80インチのスクリーンに大きく映し出された画面を活用した授業を行うことができるようになった。教師用PCには授業支援ソフトもインストールされている。

  児童・生徒用には、教室用ノートPCを各校10台〜12台整備。各教室において2、3人で1台のPCを活用した授業が展開できるようにした。

  このほか、移動式のプロジェクターを各学年に1台、簡易型の電子黒板を小・中学校に各3台、実物投影機を小学校に各1台配備した。

  デジタル教科書は、平成23年度に、小学校国語・書写・社会・算数・理科を、平成24年度に、中学校国語・社会・数学・理科・英語を配備済。平成18年度から収集を開始した教員の自作デジタル教材は、昨年度までに小学校399点、中学校256点。これらを毎年各校に配布している。平成21年度からは、実物投影機やプロジェクターの活用事例を紹介する「ICT活用事例集」を作成・配布。当初は算数・数学・理科が中心だったが、次年度には音楽、保健、特別活動、総合的な学習の時間、朝会などで活用場面が広がった。

  これら整備の成果について児童・生徒を対象に調査したところ、小学校では、ICT活用の月平均利用回数は9・8回であり、特に算数・国語の活用回数が多い。中学校では月平均利用回数は10・6回で英語・理科の活用回数が多い。また、約70%の小学生と、約60%の中学生が「デジタル教科書を使うと、授業がよくわかる」と答えている。

  今年度末、小学校1校に一人1台の使用が可能になるよう、現在PC室のPCをデスクトップ型20台から、ノートPC40台に入れ替え、そのうち20台はタブレット型として、整備を進めている。普通教室専用タブレット対応授業支援ソフトも導入する。さらに平成26年度から、教育委員会と市内小・中学校をつなぐイントラネットを設置する。

(講師=教育研究所・指導主事 早川知之氏)

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【2014年1月1日】

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