小牧市の校務情報化 現場に即して進める―小牧市立小牧中学校 玉置崇校長

保護者が自慢“うちの学校はすごい”

小牧市立小牧中学校 玉置崇校長 移転により平成10年に開校したのが小牧市立小牧中学校。その新校舎に教頭として赴任、何もかもが新しかった。

 器は新しいが教育内容はどうか。そんなところから、教育の情報化の挑戦が始まった。

 まずは校務をネットワーク化することから始めてみようと、職員室LANの敷設について当時の校長に許可を得た。

 そのときの校長の言葉は今も印象深く思い出す。

 「LANもネットワークもよくわからんが、近い将来、職員室はどこでもそうなるのか?」

 そうだと答えると、即許可。背中を押して頂いた。先を考えてどう判断するかが管理職の仕事であると強く感じた。

 当時、教員が最も大変であると感じていたのが、通知表作成における転記の重複と手書き仕事であった。そこで通知表の改革が最も教員の多忙感の解消につながると考え、ネットワークを活用して通知表の電子化を進めたところ、放送局から取材がきて驚いた。

  聞くと、保護者から「うちの学校はすごい」という声が届いたという。

 「ちょっと変わった、学年末には20Pを超える、ボリュームたっぷりの通知表」としてニュースになった。

 取材に対して保護者は、「先生とのコミュニケーションを通知表でとることができる」、生徒は「先生が細かいところを見てくれているところがいいと思う」と応えている。

 当時スタートしたばかりの「総合的な学習の時間」の評価については、生徒の発表内容なども入れているため、特にページ数が多かった。生徒のヤル気を引き出すきっかけになればと始めた「いいとこ見つけ」もネットワークの活用なくしては成立し得ないものだ。

 互いに意見を言い合って良いものを作っていく、という合意のもと、改良が重ねられ「前の学期と書式が変わっている」という自慢できないシーンもあった。

 そしてこの前向きな流れが、市の様々な改革に波及し、現在の小牧市の情報化の礎となっている。
小牧市の組織は現在、以下の3つ。

■情報教育IT推進委員会=教育長、大学教員、学校管理職、市教委、市情報システム課長で構成。年1〜2回実施。市の方向性を決める役割。教育改革を実現するためには市役所全体の上層部の理解が必要だ。

■IT整備検討委員会=校長、教頭、教務主任、技術家庭科教員、事務職員、学校教育課、教育総務課で構成。年間20回程度実施。市の方向性を実現していく役割。計画、立案、研修体制の整備などを決めている影響力がある組織。例えば、新機種導入研修会では、この委員会が模擬授業なども入れながら、機器が有効活用されるように説明している。

■IT活用委員会=全25校の小中学校の教員、市教委で構成。年間8回程度実施。各校の進捗状況について情報交換を行う。

 これら委員会と市教委が連携、密な情報交換を日常的に行っていくことが、小牧市の情報化の核。

 現在、小牧市では教員1人1台の校務用PCを約750台整備。教員は異動したその日から使うことができる。研修なしで、導入当初もお互いの教え合いで行っており、保護者メールサービスや学校HP作成ツールなど、各PCからすべて操作できる。

 普通教室には大型ディスプレイがあり、PC室も無線LAN化。机の天板を変え、4人で話し合いがしやすいようにした。技術科のロボット制御では、プログラミング教材も使って授業を行っており、これら日常的な学びの姿は、学校としての説明責任を果たすため、全て学校HPで発信している。

(講師=小牧市立小牧中学校校長・元愛知県教育委員会海部教育事務所・所長・玉置崇氏)

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