北九州市教育委員会では平成15年度より、データセンター「e‐PORTセンター」を拠点とする学校専用ネットワークの構築を開始した。整備は6期に分け、平成20年度、全市立学校のPCすべての学校ネットワークへの接続を終了した。
データセンターの運用は民間企業に外部委託。学校HPや教材ASPサービス、校務支援システム、学校給食申請システム、校納金システムほかが稼働しており、24時間365日の監視体制を実現。教師用PCはスクール・ニューディール政策時に1人1台配備を完了しており、学校PCの総台数は約1万8000台にのぼる。
校務支援システムは、校長会から「教職員の子どもと向き合う時間の確保のために、校内の情報データの共通化による効率化とセキュリティの保持の必要性」について要望が出たことから、平成24年4月の稼働を目指して着手。最初の課題は市長部局への事業承認申請であった。「県費職員の業務改善を市費で実施することの是非」について問われ、予算折衝においては「システム化対象の業務範囲と効果算定の妥当性」が論点となった。システム化による業務改善が教育サービスの向上につながるという点を局内一丸となって訴えることで平成23年度新規事業として承認された。PC整備等予算約12億円とは別に、債務負担を含む約4億円の校務支援関連予算として確保した。
「既存ネットワークを利用したシステム」「仮稼働から運用保守を含む長期委託契約」「機能審査基準を満たした一般競争入札」をポイントとした導入を決定。プロポーザル提案ではなく、事前の意見招請公告等により各社から提出された機能提案や資料、意見を参考に、必要な機能を明確にした仕様書を作成、一般競争入札とした。
校務支援システムの各種機能については、校務支援システム検討会を設置し、各校種、職種の教職員から意見を聴取して検討。グループウェアなどの基本機能、成績管理、緊急メール、保健管理、文書管理、出退勤服務管理、物品等管理など各種機能を含む総合的なシステムとした。
多くの機能をほぼ一斉に稼働させたにもかかわらず、データベース一元化による情報共有により重複作業や転記作業が軽減、教職員会議等の時間が短縮したなど、現場の教員からは概ね好評だ。
児童生徒情報は学齢簿システムからデータを連携、学校内兄弟関係や既往症など多くの情報を追加登録できるようにした。転出入処理においても出席簿や要録などに即自動的に反映され、データの転記誤りを防止、情報管理等の煩雑感を軽減している。
利用にあたっては、教職員向けの全体説明会に加え、個別研修も実施。運用サポート体制も強化している。約200校に対して約50名がフォローしているICTサポーター(外部委託)については、校務システムの操作・活用方法などもサポート内容として追加。ヘルプデスクも対応時間を就業時間後の19時までに延長し、校務支援システム対応専用電話を新設。サポーター対象の研修も行っており、問合せやサポート内容についての分析や報告、情報の公開も随時行っている。
【第9回福岡開催】
【2013年3月4日】
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